最新記事
ウクライナ戦争

現状は「プーチンの勝利」...和平交渉に向けてトランプが出せる、最大の「アメ」と「ムチ」は何なのか

FIGHT OR TALK IN 2025?

2025年2月21日(金)14時48分
グレン・カール(本誌コラムニスト、元CIA工作員)

この変化はトランプが再選され、アメリカが支援を停止する恐れが強まったことに対する世論の反応だろう。ゼレンスキーでさえ2月初めに、欧米が今後の「安全保障」を約束するならロシアとの交渉に応じてもいいと前向きな姿勢を見せた

トランプの再選によりウクライナ・西側諸国とロシアとの間で戦略的バランスが変わる可能性が高まり、ウクライナには戦争疲れの兆候も見られる。従って交渉は事実上、既に始まったと言える。


だが片方が勝利の手応えを感じている場合、有意義な交渉は成立しにくい。プーチンは優位を確信している。交渉を進めるには、双方の意欲が必要だ。トランプはロシアと交渉に入ったと述べ、ウクライナも意欲を見せた。だがロシアは依然、譲歩を拒否している。

一人前の外交官なら誰でも知っていることだが、交渉は双方が「アメとムチ」を持ち寄って初めて成功する。例えば平和や領土、安全保障が「アメ」、戦闘の継続、経済的、軍事的、政治的圧力が「ムチ」だ。

トランプの手にある最大のムチは対ウクライナ軍事支援の大幅な強化だが、彼はかねて支援に否定的だ。過激な発言を別として、トランプにほかにどんなムチがあるのかは不透明で、そのムチを使う意思があるのかどうかも分からない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日産、3代目「リーフ」を米で今秋発売 航続距離など

ワールド

ロシア安保高官が今月2回目の訪朝、金総書記と会談 

ビジネス

アングル:日銀、経済下押しの程度を注視 年内利上げ

ワールド

トランプ氏、ミネソタ銃撃事件で知事への電話拒否 「
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染みだが、彼らは代わりにどの絵文字を使っている?
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 8
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 9
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 10
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 3
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 4
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中