最新記事
ウクライナ戦争

現状は「プーチンの勝利」...和平交渉に向けてトランプが出せる、最大の「アメ」と「ムチ」は何なのか

FIGHT OR TALK IN 2025?

2025年2月21日(金)14時48分
グレン・カール(本誌コラムニスト、元CIA工作員)

ウクライナ戦争の年表

開戦からまる3年、停戦は実現するか

ただし、トランプには、ロシアに行使できる貿易上の影響力はほとんどない。そして、戦場で主導権を握っているのはプーチンだ。

とはいえウクライナ軍はおおむね健闘し、数カ月前からは前線のはるか後方にあるロシアの石油関連施設や軍事司令部を攻撃している。また18〜25歳の若者を徴兵していないため、人的資源にもかなり余裕がある。

【動画】ロシア石油施設など重要拠点にドローン攻撃...「爆発20回以上」、大炎上する施設の動画も拡散


3年で士気は低下したが、ウクライナは戦うのをやめないだろう。ある兵士の言葉を借りるなら、「やめることはウクライナの死を意味する」からだ。そのため今後数カ月、戦場では苦しい現状が続く。

ウクライナの存亡はトランプに支援を続ける意思があるか否かに懸かっており、有意義な交渉ができるかはプーチンに懸かっている。

ロシアに国土の20%を制圧された22年、ウクライナのGDPは30%近く下がった。侵攻開始以来、国民の4分の1が国内外で難民となった。

1500億ドルを超える規模のインフラを破壊され、復興にかかる費用は5000億ドル以上とされる。23年から経済は年に3〜5%の成長を遂げインフレ率も12.8%と比較的緩やかだが、戦争を続けるには欧米からの巨額の支援が欠かせない。

しかし欧米、とりわけアメリカの支援には陰りが見え、長引く戦争で人的・物的被害は増大するばかりだ。ウクライナでは24年、戦争終結に向けた交渉を求める声が著しく増えた。交渉を支持する国民は昨年11月の時点で52%に達し、1年前の27%から倍増した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏、トランプ氏と28日会談 領土など和

ワールド

ナジブ・マレーシア元首相、1MDB汚職事件で全25

ワールド

ロシア高官、和平案巡り米側と接触 協議継続へ=大統

ワールド

前大統領に懲役10年求刑、非常戒厳後の捜査妨害など
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    赤ちゃんの「足の動き」に違和感を覚えた母親、動画…
  • 8
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中