最新記事
ジェンダー

「女子のくせに。」悔しい気持ちを原動力に...澤穂希と「誰もが個性を発揮できる未来」を考える

2025年2月25日(火)11時30分
※JICAトピックスより転載

亀井 性別で仕事や役割が決められるべきではありませんよね。私も就職活動の際に「今年は女性の採用はありません」とその場で帰されたことがあります。就職しても、男性職員と訪問先に行くと秘書だと勘違いされたり、最初の職場で「女性はまずお茶出しをしてください」と言われたり。基本的に学校教育までは男女平等だと思っていたので、社会に出て初めて女性が受ける差別に直面し、衝撃を受けました。

亀井温子

亀井 温子(かめい・はるこ) JICA人間開発部部長。民間企業を経て1998年にJICA入構。ネパール事務所、南アジア部、JICA緒方貞子平和開発研究所、ジェンダー平等・貧困削減推進室室長、カンボジア事務所長などを経て、2023年4月より人間開発部で保健、教育、社会保障分野のJICA事業を統括。関心分野は教育開発、ジェンダーと開発、南アジア地域

亀井 女性のアスリートは生理の問題もありますね。

 そうですね。みんな白いユニフォームのときに生理になると困っていました。生理痛があると集中できないし、排卵日近くは靱帯がゆるんでケガをしやすくなります。チームドクターが男性だと相談しづらいし、特に若い時は生理だとも知られたくありませんでした。パフォーマンスにも影響するので、私はピルを飲んで生理と大事な試合が重ならないようにしていました。

亀井 確かに男性のドクターには相談しづらいですね。実は途上国でも女子が学校に行けない理由の一つが生理です。生理用品が手に入らずに干し草やはぎれを代用したり、生理用品が使えたとしても、学校のトイレに捨てる場所がないと通学が難しくなったりします。 JICAでは、ユニ・チャーム株式会社やNGO法人ジョイセフと連携して、ミャンマーで月経教育や生理用ナプキンの普及などの取り組みを行ったり、アフリカでも生理をはじめとするジェンダー課題解決への協力を行ったりしています。

また、フェムテック*企業のFlora株式会社がベトナムの縫製工場を調査したところ、女性の生理期間中は生産性が10%以上ダウンすることが分かったそうです。工場のマネージャーが男性中心で生理に対する理解がなかったため、データを示して女性の生理や健康面について研修をしたり、ショーツ自体が経血を吸水する吸水ショーツといったフェムテックを紹介したりしたことで環境や業務効率を改善したそうです。

学校でも職場でも、女性が安心して身体面の相談をできる環境が整ってほしいですよね。女性が自らの健康や性に関する自己決定権を持つこと(SRHR: Sexual and Reproductive Health and Rightsの実現)はとても重要だと思います。

*フェムテックとは、「Female(女性)」+「Technology(技術)」の造語で、生理や更年期など女性特有の悩みを先進的な技術で解決する製品やサービスのこと

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、宇宙軍司令部アラバマ州に移転へ 前政権

ビジネス

米ISM製造業景気指数、8月は48.7 AI支出が

ワールド

トランプ政権のロスへの州兵派遣は法律に違反、地裁が

ビジネス

米クラフト・ハインツ、会社分割を発表 ともに上場は
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 6
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 7
    トランプ関税2審も違法判断、 「自爆災害」とクルー…
  • 8
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    世界でも珍しい「日本の水泳授業」、消滅の危機にあ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 9
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中