不動産王トランプの新たな妄想「ガザのリゾート化」は実現可能か? 和平への唯一の道は「これだ」

DONALD TRUMP AND THE FUTURE OF GAZA

2025年2月12日(水)15時46分
トム・オコナー(外交担当副編集長)、エリー・クック(安全保障・防衛担当)

ドナルド・トランプ

中東和平交渉での辣腕を期待されるトランプ大統領 JULIA DEMAREE NIKHINSONーPOOL/GETTY IMAGES

ロスは1990年代に中東和平交渉で奔走した元国務省高官で、イスラエルとパレスチナの暫定自治拡大合意(オスロ合意)やイスラエルとヨルダンの平和条約締結に貢献した人物。

「大統領に復帰したトランプがこの停戦合意を自分の手柄にしたいなら、そして戦闘の再開を望まないなら、自分の影響力をもっと発揮する必要がある」とも指摘した。


しかしイスラエルの政治情勢は複雑だ。ネタニヤフは連立政権の維持に極右政党からの支持を必要としているため、全ての関係者(トランプを含む)が合意を発表した後になって、ようやく停戦合意の第1段階に踏み込む決断を下した。

それでも極右のイタマル・ベングビール国家治安担当相は抗議の辞任をしたし、ベツァレル・スモトリッチ財務相も強く反発している。

一方でネタニヤフは、3つの目標を達成するまで戦争を続けると宣言している。まずは23年10月7日のハマスによる奇襲攻撃(イスラエル人約1200人が死亡、約250人が人質に取られた)で拘束された人質全員の解放。

次に軍事・政治的に機能する組織としてのハマスの壊滅。そしてガザが二度とイスラエルにとっての脅威となり得ないようにすることだ。

アメリカが起草した停戦合意によると、第1段階では6週間の交戦停止期間中に人質と拘束パレスチナ人の交換を段階的に進め、軍の部分的撤収も行う。

その後も人質交換を進め、終わったらイスラエル軍は全面撤退し、それからガザの再建が始まる。ただし、ガザの将来的な統治形態には言及していない。

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