最新記事
中国軍事

台湾侵攻にうってつけのバージ(艀)建造が露見、「中国版ノルマンディー上陸作戦」か

China Prepares Military for Own 'D-Day' Invasion

2025年1月20日(月)08時00分
マイカ・マッカートニー

これらのバージは、移動式の桟橋として機能する。3隻とも舳先から120メートル以上も突き出した桟橋のような構造物をもつ。積載された戦車やトラックはこの桟橋を使えば、厄介な砂浜を通らずに海から直接沿岸部の道路に上陸できる。

中国はいわゆるRORO船(ロールオン・ロールオフ船)の建造も加速させている。RORO船には作り付けのランプウェイ(傾斜路)があり、積まれた大型車両はそこを走って素早く下船できる。戦時には軍事車両の輸送にも使う。

安全保障問題アナリストで、米海軍大学の中国海事研究所の准教授でもあるイアン・イーストンによると、台湾本島は南北に山脈が連なる険しい地形で、中国軍が上陸できる海岸は限られている上、台湾海峡は広くはないが潮流が速く、台風シーズンなど渡航困難な時期も多いため、大規模な侵攻作戦を決行できるのは年間2 カ月間だけだ。

米シンクタンク・ランド研究所の政治学者レイモンド・クオは本誌に次のように語った。「これらのバージには軍事以外の用途もあるにせよ、大型車両が沿岸部の道路にすぐさま乗り込めるため、侵攻作戦では台湾の防衛戦略を無効化できるだろう。

とはいえ、中国は今のところせいぜい5、6隻しかバージを建造していない。これでは、何往復しても、大規模な侵攻作戦に必要な軍用車両や兵員を運ぶことは不可能だ。台湾侵攻に使うとすれば、台湾軍の抵抗を撃破して占領した港湾に支援部隊を送り込むなど、戦術面の選択肢を広げるために用いる程度だろう」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P500ほぼ横ばい、FRB議長発

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、FOMC受け 中東情勢に注

ビジネス

情報BOX:パウエル米FRB議長の会見要旨

ワールド

英首相とカタール首長が電話会議、中東緊張緩和の必要
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未…
  • 6
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 7
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 8
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 9
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 10
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中