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韓国ユン大統領、逮捕直前に気にしていたのは意外にも......

2025年1月15日(水)20時25分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

逮捕執行が迫った際にユン大統領が語った言葉

その議員たちのひとり、ユン·サンヒョン(尹相現)国民の力議員によると、逮捕執行が迫った際にユン大統領は「トリをちょっと見て行かなければ」と話して奧のリビングに入って10分ほど過ごしていたという。

この「トリ」とは誰か?

実はトリはユン大統領が飼っているペットの犬のことだ。2012年に動物愛護団体から紹介を受けて里親として迎えいれた犬だ。交通事故で後ろ足を骨折する大きな傷を負って、安楽死をすべきだという周囲の意見もあったが、ユン大統領はトリを何度も手術を受けさせ今まで育ててきたという。約10分間、リビングで愛犬とさらにキム・ゴニ(金建希)夫人とも過ごした後、部屋から出てきた大統領は、淡々と去る準備を終えたという。

トリと別れたユン大統領が官邸を出発する準備をすると、ペット担当の官邸職員がユン大統領について行こうとするトリを抱きしめたまま涙を流し始めたという。その姿に官邸内にいた国民の力の議員らと大統領室のスタッフたちが一様に目頭を熱くしたそうだ。キム・ゴニ夫人はリビングから姿を見せなかったという。

【動画】韓国ユン大統領が愛した「トリ」


 

朝、弁護士たちにサンドイッチを作っていた

また、前述のユン議員は「弁護人たちも官邸で(一緒に)仮眠を取ったが、ユン大統領が弁護人団に配ると言って、朝サンドイッチ10個を作ったとおっしゃった。その話をする姿を見て(どうして)あんなに毅然としていられるのかと思った」と語った。

ユン大統領は大統領候補だった2022年2月7日、自身のユーチューブチャンネルに「ソクヨル兄さんのご飯屋」でツナサンドイッチを作る姿を披露したことがある。

ユン大統領はその動画の中で「私がツナサンドイッチを作って食べてから約40年になる。(ツナ)缶が初めて出てきたのが約40年前だ。その時、町内のおばさんがツナをタマネギ、マヨネーズと和えて家に持ってきた。ご飯のおかずに食べて、それからパンに入れて食べてみたら本当においしくて、その時から私が家でもツナサンドイッチを作って食べるようになった」と話していた。

既存メディアではなくユーチューブを見ろ

一方で、ユン大統領は訪れた与党関係者たちに政治的な助言もしたという。

大統領は「MZ世代が最近官邸前で(弾劾反対)集会をしているが、ユーチューブを通じて全て見ている。演説内容が非常に賢く、自由民主主義に対する熱望、親中勢力に対する反感などがあって非常に感動を受けた」と話した。そして「最近のレガシーメディア(新聞・テレビなどの既存マスコミ)はあまりにも偏っているので、ユーチューブでよく整理された情報を見てほしい」と助言したという。自身が宣布した戒厳令に批判的な既存メディアの代わりに、不正選挙論を展開し弾劾反対の先頭に立った強硬保守指向のユーチューブチャンネルを応援したとみられる。

ユン大統領は「(MZ世代と一部ユーチューブチャンネルの)このような努力が集まって支持率が上がっている」として「皆さんが国民の力をよく守ってほしい。 政権の再創出をお願いする」と述べたという。

ユン大統領はその後、内乱の首謀の容疑で逮捕され、京畿道果川市(キョンギドカチョンし)にある高位公職者犯罪捜査庁に護送された。

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