最新記事
冷戦

トランプは「冷戦2.0」に勝てるのか?外交での3つの選択肢

Can Trump Win Cold War 2.0?

2024年12月18日(水)16時31分
練乙錚(リアン・イーゼン、経済学者)

外交の世界で共通の敵に侵食されそうな国々が取る戦略には、積極的に反撃に出る「巻き返し」、敵の拡大を抑える「封じ込め」、そして「緊張緩和」の3つの選択肢がある。

40年代後半、共産主義の拡大に対抗すべく巻き返し派と封じ込め派が激論を繰り広げた。ダレスは当初は巻き返し政策を支持し、東欧や朝鮮半島で一時的に採用された。


だが第3次世界大戦勃発への懸念から、トルーマン政権とアイゼンハワー政権は封じ込め政策へと後退。ダレスはこの戦略を徹底的に推し進めた。

その後、ソ連が弱体化するとレーガンは再び巻き返し政策に切り替え、最終的に冷戦に勝利した。

ところがその直後のブッシュ政権からオバマ政権に至る政権は中国に対し、巻き返しと真逆の「関与」政策を取った。

これは60年代後半にニクソン政権が中国とソ連を引き裂く目的で用いた戦略だが、ソ連崩壊後も継続したことはアメリカ最大の失策で、中国の全体主義に「第二の命」を与えてしまったと、多くの専門家はみる。

1期目のトランプは中国製品に最高25%の関税を課す関税戦争を仕掛け、関与政策を撤回。2期目は関税を60~200%に引き上げるとしている。

これは冷戦2.0時代の新たな巻き返し政策の一環なのか。トランプには関税以外にビジョンと目標、それを補完する戦略や具体的なロードマップがあるのだろうか。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は続伸、一時4万3000円回復 米関

ビジネス

インタビュー:先端素材への成長投資加速、銅製錬は生

ワールド

韓日米、15日から年次合同演習実施 北朝鮮の脅威に

ビジネス

トランプ氏対FRBの構図、市場が波乱要素として警戒
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害」でも健康長寿な「100歳超えの人々」の秘密
  • 4
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 5
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 6
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    世論が望まぬ「石破おろし」で盛り上がる自民党...次…
  • 9
    SNSで拡散されたトランプ死亡説、本人は完全否定する…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 7
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中