ニュース速報
ビジネス

トランプ氏対FRBの構図、市場が波乱要素として警戒

2025年09月05日(金)11時45分

 トランプ米大統領が金融政策へ自身の影響力を行使しようとして連邦準備理事会(FRB)と対立する構図について、金融市場は向こう半年間の新たな波乱要素になるかもしれないと想定している。写真はパウエルFRB議長(前方)とトランプ大統領。ワシントンで2017年11月撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)

Ankita Yadav

[4日 ロイター] - トランプ米大統領が金融政策へ自身の影響力を行使しようとして連邦準備理事会(FRB)と対立する構図について、金融市場は向こう半年間の新たな波乱要素になるかもしれないと想定している。複数のエコノミストが「ロイター・グローバル・マーケッツ・フォーラム」で警告した。

トランプ氏はパウエルFRB議長が利下げをしないと執拗に批判しているほか、クックFRB理事解任に乗り出し、側近のミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を新たなFRB理事に指名。こうした一連の騒動により、投資家のFRBに対する信頼がじわじわと弱まっている。

アバディーンのシニア調査エコノミスト、スリー・コチュゴビンダン氏は「市場は今のところ落ち着いている。(しかし)この話で数カ月中に地合いが悪化してもおかしくない」と述べた。

またコチュゴビンダン氏は、特に連邦公開市場委員会(FOMC)の政策運営姿勢が「(インフレと景気のバランスを勘案した短期金利設定の目安である)テイラー・ルール」からかい離し始めるとすれば、来年2月のFRBの構成変更が持つ意味がより重要になるとの見方を示した。

ベセント財務長官はFRBの構造上、大統領が理事会を自身の息のかかった人材で固めることはできないと発言している。しかし複数の報道によると、トランプ氏は12の地区連銀総裁の選出・再任方法を見直すことで、影響力を及ぼそうとしているという。

ペッパーストーンのシニア調査ストラテジスト、マイケル・ブラウン氏は「トランプ氏派」が多数を占めるFRB理事会が、地区連銀総裁人事において何人かの再任を拒むというリスクは恐らく過小評価されていると指摘。これまで形式的な手続きと見なされてきたが、今回はより政治的な影響が働くことが分かるのではないかと付け加えた。

TSロンバードのチーフ米国エコノミスト、スティーブン・ブリッツ氏は、トランプ政権の動きは中央銀行の独立性という問題にとどまらず、FRBの解体に至る可能性を秘めていると分析した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

情報BOX:対米投資5500億ドルの覚書、日本が指

ビジネス

最高値の8月相場、ソフトバンクGが売買代金首位 2

ビジネス

アングル:本格的夜明けか、再び期待外れか 注目浴び

ビジネス

景気動向一致指数2.6ポイント低下、2カ月ぶりマイ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害」でも健康長寿な「100歳超えの人々」の秘密
  • 4
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 5
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 6
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 7
    世論が望まぬ「石破おろし」で盛り上がる自民党...次…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 9
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習…
  • 10
    SNSで拡散されたトランプ死亡説、本人は完全否定する…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 7
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中