韓国・戒厳令は「本気ではなかった」?...すっかり居直った尹錫悦大統領の主張とは?

Defiant Yoon Vows to Fight On

2024年12月17日(火)14時50分
ミッチ・シン(ディプロマット誌韓国特派員)

「国民の力」の韓東勲代表

国民の力の韓代表は大統領の職権を停止するには弾劾しかないと主張 KIM KYUNG-HOONーREUTERS

さらに尹は、共に民主党が過去2年半にわたって自分を大統領の座から引きずり降ろそうとしてきたと非難。彼らは2022年の大統領選の結果を受け入れていないと語った(22年の大統領選では尹が野党・共に民主党の李在明代表を下しているが、その差はわずか0.7ポイントだった)。

尹は12日の演説で、共に民主党が率いた前政権の統治を強く非難したが、自身の支持率が低迷し、24年4月の総選挙で野党勢力が有権者の圧倒的支持を得た事実には言及しなかった。


代わりに尹は、右翼の活動家らが唱えている根拠のない主張を繰り返し、いわゆる反国家勢力や親北朝鮮勢力が選挙結果を操作したと主張。

共に民主党が選挙を「盗んだ」とまでは言わなかったものの、中央選挙管理委員会(選管)のコンピューターシステムが極めて脆弱で、国家情報院の職員なら簡単にハッキングできたと主張し、総選挙の結果に疑問を投げかけた。

尹によれば、23年後半には韓国の複数の政府機関や関連施設が北朝鮮によるハッキングを受けており、それら機関の大半は国家情報院による立ち入り検査を受け入れたが、中央選管だけはなぜか立ち入りを拒んだと主張した。

これを受けて中央選管は直ちに反論、尹は事実をゆがめているとした。また22年の大統領選や地方選挙でも同じシステムが使われたが、そのときは尹と与党・国民の力が勝利していると指摘。

さらに、戒厳令で動員された軍の部隊が4日未明に選管の施設に不法侵入したとも非難している(現地メディアによれば、彼らは携帯電話でサーバーなどの写真を撮ったという)。

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