韓国・戒厳令は「本気ではなかった」?...すっかり居直った尹錫悦大統領の主張とは?

Defiant Yoon Vows to Fight On

2024年12月17日(火)14時50分
ミッチ・シン(ディプロマット誌韓国特派員)

K-POPのヒット曲に合わせて与党に抗議する韓国国民

ソウル市内では一般市民がK-POPのヒット曲に合わせて与党に抗議した DANIEL CENGーANADOLU/GETTY IMAGES

根拠のない主張を展開

どうやら尹は、24年総選挙で野党が勝ったのは不正工作の結果だと言いたいらしい。彼の思考回路では、共に民主党ごときに自分の党が負けるはずはないのだろう。

韓国では以前から、極右の過激派が期日前投票での不正を指弾してきた。しかし、そうした議論はごく一部の陰謀論者の言説にすぎず、現時点で中央選管や期日前投票での不正を裏付ける証拠は見つかっていない。


尹が内乱罪で有罪判決を受けるかどうかの判断でカギを握るのは、非常戒厳を宣布した際に尹自身が軍の司令官に対して、議員らの議事堂進入を阻止し、本会議場から引きずり出すよう命じていたかどうかという点だ。

この点について尹は、もし自分がそうした行為に出ていれば、国会で戒厳令の解除要求決議が可決されることはなかったはずだと主張。さらに、本気でクーデターによる権力掌握を考えていたとすれば、(週の初めではなく)週末のうちに戒厳令を宣布していたはずだとも自己弁護した。

しかし事実として、警官隊は一部議員の入場を阻んでいるし、戒厳軍の部隊も議事堂に突入している。

陸軍特殊戦司令官の職務を停止された郭種根(クァク・チョングン)は、尹から2回電話があり、ドアを壊して本会議場にいる議員を外に連れ出すよう指示されたと証言している。

その時点では、議場に赴いた議員がまだ定足数に達しておらず、戒厳令解除の採決を行う準備は整っていなかった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:値上げ続きの高級ブランド、トランプ関税で

ワールド

訂正:トランプ氏、「適切な海域」に原潜2隻配備を命

ビジネス

トランプ氏、雇用統計「不正操作」と主張 労働省統計

ビジネス

労働市場巡る懸念が利下げ支持の理由、FRB高官2人
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    オーランド・ブルームの「血液浄化」報告が物議...マイクロプラスチックを血中から取り除くことは可能なのか?
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 9
    ハムストリングスは「体重」を求めていた...神が「脚…
  • 10
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 4
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 5
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 6
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 9
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 10
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中