【本誌独占インタビュー】トニー・ブレア英元首相が語る「中東和平への道」

BLAIR ON LEADERSHIP

2024年11月20日(水)16時23分
ナンシー・クーパー(本誌グローバル編集長)、クリストファー・ロバーツ(デジタル出版担当副社長)、バーニー・ヘンダーソン(コンテンツ・ディレクター)

この問題を解決するためには、イスラエルの人々が自分たちと隣り合って暮らしている人々を文化的に受け入れるしかない。彼らは今そうしているだろうか。

いや、イスラエル人とパレスチナ人の間には大きな断絶がある。イスラエル人はパレスチナ人を信用せず、パレスチナ人はイスラエル人を信頼していない。そのため、パレスチナ人は喪失感や屈辱感や怒りを抱き、イスラエル人は相手が自分たちを破滅させたがっていると感じている。


その結果、国境の線引きをめぐる交渉が泥沼化する。こうした状況は全て、双方が実際に受容し合っていると感じる環境をつくり出せば解決しやすくなるだろう。だが、そういう環境がなければ、これらの合意は決して長続きしないだろう。

北アイルランドのケースでは、(プロテスタントでイギリス連邦との統一維持を支持する)ユニオニストに、イギリスにとどまるならカトリック系住民も対等に扱うことを最終的に受け入れさせた。それがユニオニスト側の大きな譲歩だった。

一方、(カトリックで強硬なアイルランド統一派の)リパブリカンと(アイルランドへの統合を望む)ナショナリスト側の大きな譲歩は、北アイルランドの住民投票で過半数がイギリスからの独立を選択しない限り、北アイルランドはイギリスにとどまるというものだった。

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