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ハメネイの辞書に「屈服」なし

KHAMENEI WON’T SWALLOW

2026年3月8日(日)10時00分
アラシュ・ライシネジャド (タフツ大学フレッチャースクール客員助教)
via REUTERS

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<軍事攻撃の圧力をかけても暗殺をチラつかせても「無条件降伏」を拒み続けた最高指導者の胸の内>


▼目次
殉教の象徴的意味を理解
譲歩=実存的敗北と見なす

2月28日のアメリカとイスラエルによるイラン攻撃の直前まで、ワシントンではおなじみの仮説がまかり通っていた。圧力をかけ、制裁を科し、孤立させ、軍事的リスクを与えれば、イランの最高指導者、アリ・ハメネイは譲歩するという見方だ。すぐに、かつ公の場では難しくとも、最終的には折れる──こうした見方は、イランの政治システムの中心に位置する人物の本質を誤解したものだった。

ハメネイが「無条件降伏」を受け入れることはあり得なかった。彼にとって、有無を言わさぬ圧力に屈することは単なる戦術変更ではなく、自身の権力とアイデンティティーの破壊にほかならなかったからだ。

これを理解するには、ウラン濃縮活動やミサイルではなく、まず彼の政治的アイデンティティーに注目する必要がある。ハメネイはイスラム革命が1979年に完結したとは考えていなかった。彼の頭の中では、未完の革命が今も続いていたのだ。

ハメネイの政治的アイデンティティーはパーレビ体制への抵抗と獄中生活で形づくられ、イラン・イラク戦争を経て強固になった。その思考パターンは文学作品の好みからもうかがわれる。彼が公に評価してきた作品の1つはミハイル・ショーロホフ著の『静かなドン』だ。主人公はコサックの若者。名誉と忍耐を胸に深く刻み、第1次大戦からロシア革命、そして内戦に至る混乱の時代を生き抜く。混乱は異常事態ではなく、精神を形成する試練と位置付ける。

同様に、ハメネイの目に映るイスラム共和国は混乱に満ちた緊張と対立の中にあった。制裁、妨害、対決は平穏の妨げではなく、革命が続いていることの証左だ。圧力に屈すれば、安定の回復ではなく、革命の継続を否定することになる。

ハメネイの屈服があり得なかった理由はもう1つある。それは88年の負の遺産だ。当時の最高指導者、ルホラ・ホメイニが国連安全保障理事会決議598号を受諾し、80年から続いたイラン・イラク戦争は終結した。

この時ホメイニは決議受諾を「毒杯をあおる」行為に例え、停戦を外交的成果ではなく、避け難い苦渋の選択だと位置付けた。

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