最新記事
中東

イスラエル、ヒズボラ攻撃でレバノンに地上侵攻開始

Israeli Troops Begin Ground Offensive Against Hezbollah in Lebanon

2024年10月1日(火)17時39分
トム・オコナー
イスラエルからレバノンへ砲撃の煙

イスラエル軍の砲撃を受けたレバノンの建物。イスラエル北部の国境の都市キリヤット・シュモナより(10月1日) REUTERS/Jim Urquhart

イスラエルの生存を脅かすものは許さないと、ガザのハマスに続いてレバノンのヒズボラに攻撃を開始。攻撃は「限定的」と言うが本当にそれで済むのか

イスラエル国防軍(IDF)は、レバノンのシーア派組織ヒズボラの無力化を目的とするレバノン地上侵攻を開始したと発表した。1年近いガザ地区での戦闘に伴い、イスラエルとレバノンの国境をはさむ交戦も悪化してきた結果だ。

■大爆発──ヒズボラ、ハマスと仲間のフーシ派にも鉄槌の動画を見る

IDFは、9月30日付けの声明で、「政権の決定に従い、IDFは数時間前、レバノン南部で限定的かつ局所的な、標的を絞った地上攻撃を開始した。これは、標的となるヒズボラのテロリストたちやインフラに関する正確な情報にもとづいたものだ」と述べた。「これらの標的は、国境に近い複数の集落に存在し、(レバノンと国境を接する)イスラエル北部のイスラエル人地域社会にとって差し迫った脅威となっている」

IDFによれば、参謀本部と北部司令部が立案した「入念な計画」に沿って作戦が進められているという。部隊は、これまでの数カ月にわたって、国境をまたいだ作戦の訓練を受けてきた。IDFの空軍と砲兵部隊による支援も受けることになっている。

敵の精神的支柱を折る

「IDFは、戦いの目的を達成すべく作戦を継続する。イスラエル国民を守り、イスラエル北部の避難民を帰還させるために必要なことはすべてやる」と、IDFは述べている。

数日前には、イスラエルはベイルート南郊のダヒエ地区に大規模な空爆を行い、ヒズボラの最高指導者で精神的支柱であったハッサン・ナスララ師を殺害、ヒズボラに大きな打撃を与えた。ガザのイスラム組織ハマスがイスラエルに奇襲攻撃を仕掛け、イスラエルが報復攻撃を始めると、イランが支援するヒズボラは「ハマスと連帯」してイスラエルにロケット弾やミサイル、ドローンを発射してきた。

一方、国境をはさんでイスラエルと対峙するヒズボラは、イスラエル北部に対してこれまで通り攻撃を続けていると発表した。9月30日の終日を通して、「ガザ地区にいるパレスチナの人々を支援し、その勇敢で尊敬すべき抵抗を援護し、レバノンとその民を守り、野蛮なイスラエルによる都市、町、文明への侵攻に応戦するために」、少なくとも12件の個別の作戦をおこなったと発表した。

またヒズボラのナンバー2であるナイム・カセム師がナスララの死亡後初めて演説し、イスラエルはヒズボラの中核的な軍事能力を損なうことはできていないと語った。カセムは、イスラエル軍の撤退により終結した2006年の前回の紛争の経験を述懐した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏CPI、4月はサービス上昇でコア加速 6月

ワールド

ガザ支援の民間船舶に無人機攻撃、NGOはイスラエル

ワールド

香港警察、手配中の民主活動家の家族を逮捕

ビジネス

香港GDP、第1四半期は前年比+3.1% 米関税が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 7
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 8
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 9
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中