最新記事
野生動物

南洋のシャチが、強烈な一撃でイルカを「空中に弾き飛ばす」瞬間を撮影...残酷で完璧な狩りのスキル

Orca Matriarch Seen Throwing Dolphin Into Air During Hunt

2024年9月28日(土)19時26分
ジェス・トムソン

この個体群の狩りの様子は一度も確認されていなかった

研究チームは、論文でこう述べている。「南半球における科学的な取り組みでは、南極と亜南極の水域のタイプAとされる採餌戦略のシャチ(すなわち、クロミンククジラ[学名Balaenoptera bonaerensis]、ミナミゾウアザラシ[学名Mirounga leonina]を食べるタイプ)に、主な焦点が当てられている」

「タイプB1は、ウェッデルアザラシ[学名Leptonychotesw eddellii]、タイプB2はペンギンと魚類を食べる」と論文は続く。「タイプCは、ライギョダマシ[Dissostichus mawsoni]、タイプDは、延縄(はえなわ)漁にかかった魚を捕食する」

フンボルト海流に生息するこの個体群による狩りの様子は、これまで一度も確認されていなかった。イルカを捕食するということは、この個体群は、哺乳類を食べるタイプAの生態型に属する可能性がある。

「もし可能であれば、皮膚生検サンプルを入手して、遺伝子データを分析したいと考えている。この太平洋南東部に生息するシャチの遺伝情報はないからだ」とガルシア=セガラは話す。「とはいえ、シャチは頭がよくて巧妙に逃げ回るので、生検採取のために船で近づくのは難しい」

シャチは、仕留めた獲物を群れの仲間と分け合うことが確認されている。タイプAは、血縁関係にある者同士で獲物を分け合うことが確認されているため、このことも、この個体群がタイプAに属する可能性を示唆している。

「われわれが生まれたばかりの個体を確認しているという事実は、彼らに子孫がいる兆候であり、重要だ。ただし、彼らの生存率はわかっていない」とガルシア=セガラは言う。「一般市民が研究に参加しているおかげで、私たちは、チリ北部の沿岸数千キロメートルにわたって、沖合に生息するシャチを追跡できている。ただし、たまたまシャチを目撃したというケースがほとんどだ」
(翻訳:ガリレオ)

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

WHO、成人への肥満症治療薬使用を推奨へ=メモ

ビジネス

完全失業率3月は2.5%に悪化、有効求人倍率1.2

ワールド

韓国製造業PMI、4月は約2年半ぶりの低水準 米関

ワールド

サウジ第1四半期GDPは前年比2.7%増、非石油部
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 7
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 10
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中