最新記事
教育

子どもがゲームをする時間がどんどん長くなっている

2024年9月18日(水)11時20分
舞田敏彦(教育社会学者)
ゲームをする子ども

文科省の調査によると2割近くの小学6年生が1日4時間以上もゲームをしている kukuru88/photoAC

<長時間のゲームで朝起きられなくなり、結果として朝食を食べない欠食率の上昇が起きている>

フィンランドの学校で「脱デジタル化」の取組が進んでいるという。画面と長時間向き合うことによる健康への悪影響、授業中にSNSを見てしまうなどの集中力の低下、といった問題が出てきているためだ。オーストラリアでは、ネットいじめや犯罪被害を防ぐため、子どものSNS利用を禁止する方針も示されている。

ICT先進国の動きだが、日本の学校でも「1人1台端末」のGIGAスクール構想が実現し、全ての子どもにデジタル機器が行き渡るようになっている。スマホの所持率も上がり、最近では小学生でも高学年になると、8割の子どもが専用のスマホを有している。


当然、上記のような問題が生じてくる可能性はある。画面と向き合う時間(スクリーンタイム)が長すぎると、視力の低下につながる。子どもの場合、深夜までゲームに興じて寝不足にもなりがちだ。

こういう子が増えているであろうことは、データでも分かる。<図1>は、小学校6年生の児童に「ゲーム(コンピューターゲーム、携帯式のゲーム、携帯電話やスマートフォンを使ったゲームも含む)を、平日1日当たりどれくらいするか?」と尋ねた結果だ。

newsweekjp_20240918013501.png

10年前の2014年では「1時間未満」が32%と最も多かったが、今年では「1時間台」が最も多い(25%)。分布は右側にシフトし、現在では全体の31%が1日3時間以上、18%が4時間以上ゲームをしている。

この10年間でゲームの時間が長くなっているのは,専用のデバイスを所持する子どもが多くなっているためだろう。学校から帰った後、寝るまでの間に4時間以上もゲームをするというのは相当なものだ。深夜まで布団にくるまってスマホでゲームをしている姿が目に浮かぶ。それで朝起きられず、朝食も食べないで学校に行く。こういう子も増えているかと思う。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏と米特使の会談、2日目終了 和平交渉

ビジネス

中国万科、償還延期拒否で18日に再び債権者会合 猶

ワールド

タイ、2月8日に総選挙 選管が発表

ワールド

フィリピン、中国に抗議へ 南シナ海で漁師負傷
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 6
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 7
    世界の武器ビジネスが過去最高に、日本は増・中国減─…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    ステフィン・カリー、嘘みたいなロングシュート成功…
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 6
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中