最新記事
レバノン

レバノンでまた通信機同時爆発、民家やカフェも無差別の「恐怖と戦慄」

14 Die, at Least 450 Hurt in Beirut in Second Wave of Exploding Devices

2024年9月19日(木)15時56分
ジョー・エドワーズ/ナタリー・ベネガス
通信機攻撃2日目の爆発を見るレバノン市民

通信機器爆弾攻撃の2日目、爆発が起こったビルを見上げるベイルート市民(9月18日、レバノン南部のベイルート郊外) Social Media/via REUTERS

<一度に3000人の死傷者を出したポケベル爆弾攻撃の翌日、今度はヒズボラ戦闘員のトランシーバーを狙った同時爆発攻撃が。イスラエルの対ヒズボラ戦略が変わった可能性も>

レバノンの首都ベイルートで9月18日、イスラム過激派組織ヒズボラの戦闘員が使用していた無線通信機器が再び爆発。同国保健省によれば、20人が死亡し、少なくとも450人が負傷した。

【動画】「ポケットの中の爆弾」が一斉に爆発した瞬間

前日の17日にもレバノンと隣国シリアで同じような爆発があり、子ども2人を含む12人が死亡し、3000人近くが負傷した。17日の事件で爆発したのはポケットベルだったが、18日に爆発したのはトランシーバーのような機器だった。

ヒズボラが運営するテレビ局「アルマナル」によると、イスラエルと国境を接するレバノン国内の複数の地域で爆発があったと、AP通信は伝えた。AP通信のカメラマンは、爆発で車1台と携帯電話の販売店が損傷を受けたのを見たと報じた。

ある治安筋は米CNNに対して、ベイルート郊外で15回から20回の爆発、さらにレバノン南部でも15回の爆発があったようだと語った。

英スカイニュースのアラビア語サービスによれば、今回爆発したトランシーバーも17日に爆発したポケベルも、ヒズボラが同時期に購入したものだという。

「何百回もの爆発」

ある目撃者(安全上の理由から匿名扱い)はCNNに対して、現地時間の午後3時頃にトランシーバーが爆発したと語った。大きな爆発音がした後に叫び声が上がり、爆発したトランシーバーを所持していた男性が血まみれになっていたという。

さらに民家や食料品店、カフェなどで「何百回もの爆発」が起き、多くの場合は近くに民間人がいる状況だったと、AP通信は伝えた。

この破壊規模に、国際社会から懸念の声が上がっている。フォルカー・トゥルク国連人権高等弁務官は爆発について独立調査を行うよう求め、「民間人に大きな恐怖と戦慄をもたらした」と、一連の攻撃を非難した。

イランの支援を受けるヒズボラとイスラエルは10月初旬以降、毎日のように国境を挟んだ衝突を繰り広げている。パレスチナ自治区のガザでは、2023年10月にガザを実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエル南部を襲撃したのをきっかけに戦闘が続いている。ヒズボラはイスラエルへの攻撃はハマスとの連帯を示すものだと宣言している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

タイ、外国人観光客向けに仮想通貨・バーツ決済の試験

ビジネス

S&P、米国のソブリン格付け「AA+/A─1」据え

ビジネス

訂正-米パロアルト、5─7月の調整後利益が予想超え

ビジネス

豪8月消費者信頼感が大幅上昇、利下げで家計・経済見
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 7
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 8
    アラスカ首脳会談は「国辱」、トランプはまたプーチ…
  • 9
    「これからはインドだ!」は本当か?日本企業が知っ…
  • 10
    米ロ首脳会談の失敗は必然だった...トランプはどこで…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 5
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 6
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 8
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 9
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 10
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中