最新記事
韓国社会

「ネットは野獣の王国、投げ銭で稼ぐため枕営業も」 韓国人気女性インフルエンサーが暴露

2024年8月28日(水)19時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
韓国のインフルエンサー、カン・ドンラン

韓国のネット業界の問題を批判するインフルエンサー、カン・ドンラン 감동란TV 시즌3 GamdonglanTV / YouTube

<韓国ネット業界の闇を女性インフルエンサーが暴露>

今月23日、ユーチューブやネットのライブ配信で活動していた韓国の元暴力団出身インフルエンサーが、麻薬の投与や販売容疑で逮捕された。26万人の登録者をもつ人気インフルエンサーだったが、2022年10月から昨年8月まで麻薬を投薬、数千万ウォン分の麻薬類を販売した容疑で韓国ソウル江南警察署が拘束送検した。これに関してある人気女性インフルエンサーが「韓国のネットは野獣の王国」とネット業界の闇を暴露して話題を集めている。韓国日報、ノーカットニュース、韓国経済新聞などの韓国メディアが報じた。

ユーチューブやインスタグラム、そして韓国のニコニコ動画ともいえる動画サービス、アフリカTVで活動する女性インフルエンサー、カン・ドンランが韓国のネット業界について糾弾する内容を投稿した。彼女は最近、自身のユーチューブチャンネルに「アフリカTV(司会者の)麻薬事件がまた起きたが、どうせ販売した者だけが刑務所に入り、麻薬を使った者は初犯ということでほとんど罰金か執行猶予程度で釈放される。麻薬関連の犯罪者に対する処罰があまりにも弱い」という書き出しの長文のメッセージをアップした。

【動画】韓国ネット配信で活躍するカン・ドンランら女性インフルエンサーたち

またカン・ドンランは、自身もインフルエンサーとして活動するアフリカTVのコンテンツ司会者管理システムの問題点を指摘した。

「(アフリカTVは)イメージアップを図りたいとしながら、売春斡旋や性売買、麻薬のような犯罪に対して非常に寛大な点を見れば、本当に矛盾の極致だ。(犯罪行為が明らかになって)実際に(懲役)刑を受けたり議論の種になっても問題なく復帰し、毎月数千万ウォン、数億ウォンの収入を得てうまく生きている」と指摘した。

「星風船」と「エクセル放送」

さらにカム·ドンランは、アフリカTVのコンテンツ形式もインフルエンサーの誤った行動を煽っていると指摘した。なかでも彼女が問題視したのが「エクセル放送」だ。

エクセル放送はアフリカTVの出演者が視聴者から受け取った投げ銭の金額をエクセルの表計算シートのようなランキングにして公開するライブ配信番組を指す。主に男性インフルエンサーが司会進行する放送に数人の女性インフルエンサーがゲスト出演し、「星風船」と呼ばれる視聴者からの投げ銭があると女性たちがダンスを踊るような形で進行する。

「星風船」はエクセル放送に限らずアフリカTVで広く行われる投げ銭のシステムで、1個111ウォン(税込)で視聴者が購入する。視聴者は「星風船」を1日最大1万個まで購入できる。インフルエンサーは1個当たり60〜70ウォンを得て、残りをアフリカTV側が収入にする。ただし人気インフルエンサーの場合、「ベスト·パートナー」という名前で手数料20%の特典を適用されることがあるという。

当然、多くの「星風船」を獲得するため女性たちは刺激的な衣裳を着たり、「星風船」を多く獲得している者が下位の者に対してパワハラをするなどの行動が行われる。さらに、ライブ配信当日に割り当てられた「星風船」の目標額を満たせなかったり、最下位順位で終了した女性インフルエンサーは、自腹で未達成分に相当する罰金を支払ったり、所属している事務所から解雇されることもあり、参加する女性たちは自分の目標額をクリアしようとさらに刺激的な放送をするよう誘導される仕組みだ。

こうした状況に対して、カン・ドンランは「エクセル放送が主流になって個人での配信が難しくなってしまい、女性インフルエンサーたちはお金を稼ぐために富める者たちの群れに寄生しなければならない。その過程で麻薬や性関係も一緒にしなければならない」と告白した。さらに「そうしなければ彼らの番組に出演できなくなり、投げ銭もなくなる」と付け加えた。

「今ではネット配信でお金を稼ぐためには『エクセル放送』しか選択肢がないが、そのためには相応の対価を提供しなければならない」と書いた彼女は「ここは『ネットの遣り手婆』と性売買がいっぱいの野獣の王国。捕食者がうようよいるジャングルで草食動物として生きていくのは難しい」と話した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トルコ裁判所、最大野党党首巡る判断見送り 10月に

ワールド

中国は戦時文書を「歪曲」、台湾に圧力と米国在台湾協

ビジネス

エヌビディアが独禁法違反、中国当局が指摘 調査継続

ビジネス

無秩序な価格競争抑制し旧式設備の秩序ある撤廃を、習
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 4
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    【動画あり】火星に古代生命が存在していた!? NAS…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中