最新記事
ウクライナ戦争

被弾したロシア戦闘機から緊急射出...操縦士が「落下しながら」撮影した「墜落の瞬間」のレア映像

Russia Pilot Films Combat Jet Crashing to Earth After Ejecting

2024年8月7日(水)17時19分
イザベル・ファン・ブリューゲン
ウクライナ戦争で撃墜されたロシア戦闘機

Free Wind 2014/Shutterstock

<かなりの高度でパイロットが脱出していることから、墜落したロシア機はSu-30/Su-35戦闘機かSu-34爆撃機だった可能性が指摘されている>

ロシアの戦闘機が地面に墜落していく瞬間を捉えた映像がSNSで拡散している。撮影したのは同機が被弾した後、緊急脱出して自らもパラシュートで落下中だったロシア航空宇宙軍(VKS)のパイロット。墜落する航空機を「上から」撮影した珍しい映像は専門家たちによって拡散され、ネットで注目を集めている。

■【動画】撃墜されたロシア戦闘機のパイロット、墜落していく様子を「上空から」撮影したレア映像

この映像は、戦争支持ブログ「War, History and Guns」を運営する親ロシアの軍事ブロガー、キリル・フョードロフがテレグラムで共有したものだ。

「VKSパイロットが記録した映像。脱出の数秒後、『先端のマルチメディア機能』搭載の端末をポケットから取り出した。その端末がポケットに入っていたのは純粋な偶然で、当然ながら『戦闘任務のみ』に使われていた」。50万超の読者をもつフョードロフはそう解説している。

フョードロフは撃墜された戦闘機の種類も、映像が撮影された日時や場所も明らかにしなかった。ただ、パイロットは無事だったと伝えている。「追伸。撮影場所や時刻は教えない」「追追伸。パイロットは生きていて無事だ。勇敢な鷹としてウクライナ人を相手にする用意がある!」

映像はウクライナ内相の元顧問、アントン・ヘラシチェンコによってX(旧Twitter)でも共有された。「撃墜されながら脱出できたロシア人パイロットの映像がネットに投稿された。彼は自分と自分の機体の落下をスマートフォンで撮影した」

ヘラシチェンコはそう述べ、「雲の上で、かなりの高度で脱出していることから、操縦していたのはSu-30/Su-35戦闘機かSu-34爆撃機だった可能性がある。パイロットの冷静な行動から判断すると、同機はロシアの後方奥深い場所で撃墜された」と推測している。

ロシア軍はウクライナ戦争で航空機の約10%を失った

2022年に始まったウラジーミル・プーチン大統領のウクライナ侵攻を通じ、ロシア空軍は大勢の死傷者を出してきた。本誌はロシア国防省に電子メールでコメントを求めている。

ウクライナ軍はこの戦争を通じて多数のロシア軍機を撃墜している。アメリカ欧州軍のクリストファー・カヴォリ司令官は4月に米議会で、ロシア軍はこの戦争で航空機の10%前後を失ったと報告した。

今年2月にはウクライナ国防省が、わずか3日でロシアの戦闘機6機を撃墜したと発表した。

オランダのオープンソース防衛情報分析サイト「Oryx」は、ウクライナで戦争が始まって以来、ロシア軍機109機が破壊され、12機が損傷したことを視覚的に確認した。ウクライナ軍側については93機が破壊されて3機が損傷し、1機が拿捕されたことをやはり視覚的に確認している。

ウクライナ軍参謀本部は5日の最新情報で、ロシアは全面侵攻開始以来、365機を失ったと伝えた。本誌はこの数字について独自に検証はできていない。

ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本のCEO
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月1日号(6月24日発売)は「世界が尊敬する日本のCEO」特集。不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者……その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ブラジル議会、ルラ大統領の金融取引税引き上げを却下

ビジネス

日本のM&A、上期34兆円で過去最高 トヨタグルー

ビジネス

世界のエネルギー部門CO2排出量、4年連続で過去最

ビジネス

ネスレ米法人、合成着色料の使用停止へ 26年半ばま
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係・仕事で後悔しないために
  • 3
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 4
    人口世界一のインドに迫る少子高齢化の波、学校閉鎖…
  • 5
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 6
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 7
    「子どもが花嫁にされそうに...」ディズニーランド・…
  • 8
    都議選千代田区選挙区を制した「ユーチューバー」佐…
  • 9
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事…
  • 10
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 8
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 9
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中