最新記事
中国海軍

中国海軍、ロシアの手引きでNATOの海を堂々と正面突破。深まる中ロの軍事協力

Chinese Navy Ships Sail Into 'NATO Lake'

2024年7月22日(月)18時02分
ジョン・フェン
ロシア海軍のミサイル艦

「海軍の日」のパレードのリハーサルをするロシア海軍の小型ミサイル艦(7月21日、サンクトペテルブルク

<周囲をほとんどNATO諸国に囲まれたバルト海を堂々と通行する中国軍艦の目的地は、ロシアのバルチック艦隊の母港サンクトペテルブルク。中ロ両国は戦略的に足並みを揃え、軍事協力をますます強化している>

中国海軍の艦艇2隻が7月20日、NATO艦艇のエスコートでバルト海に入った。2隻は式典に参加するため、ロシアのサンクトペテルブルクに向かって航行中だ。

【動画】デンマークの哨戒艇に続きバルト海を通過する二隻の中国艦艇

目撃者がX(旧ツイッター)に投稿した橋からの映像には、バルト海に浮かぶデンマークの島々の近くを、中国の052D型(旅洋III型)ミサイル駆逐艦「焦作」と903型(福池型)総合補給艦「洪湖」 が、先導するデンマークの哨戒艇とともに航行する様子を捉えている。

別の目撃者の投稿では、中国海軍の艦艇が、やはりバルト海に浮かぶデンマーク領の島々を結ぶグレートベルト(大海峡)橋の下を通過するところだった。

フィンランドとスウェーデンのNATO加盟によって、バルト海は大部分がNATO諸国に属することになり「NATO湖」とも呼ばれている。そうしたNATOの海域を、焦作と洪湖は数時間かけて通過した後、ロシア軍が駐留する飛び地カリーニングラードの沖を通ってバルチック艦隊の母港サンクトペテルブルクに向かうとみられる。

本誌はNATOの同盟海上司令部とデンマーク海軍に書面でコメントを求めたが回答は得られなかった。

サンクトペテルブルクでは毎年7月の最終土曜日に「海軍の日」の式典が行われる。ウラジーミル・プーチン大統領やロシア軍幹部が顔を揃え、近くの島から海上軍事パレードを観閲する。地元メディアは、中国海軍の艦艇の参加が予定されていると伝えている。

だが今週初め、サンクトペテルブルクの当局者はメインイベントである28日の軍事パレードが中止になったと発表した。理由は明らかになっていないが、代わりにもっと規模の小さい式典を市内各地で行うという。

中国がサンクトペテルブルクに自国の艦艇を初めて送り込んだのは2017年のこと。海軍の艦隊がバルト海でロシア軍と合同軍事演習を行った。2019年にも他の国々の艦船に混じって駆逐艦を式典に参加させた。

一方、ロシアの太平洋艦隊は先週、所属するフリゲート艦が南シナ海で行われた15日間にわたる中国海軍との合同演習を終えたと発表した。航行距離は4800海里に及んだという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

テスラに2.43億ドルの賠償命令、死傷事故で連邦陪

ビジネス

バークシャー、第2四半期は減益 クラフト株で37.

ビジネス

クグラーFRB理事が退任、8日付 トランプ氏歓迎

ビジネス

アングル:米企業のCEO交代加速、業績不振や問題行
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    オーランド・ブルームの「血液浄化」報告が物議...マイクロプラスチックを血中から取り除くことは可能なのか?
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 5
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 6
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 9
    ハムストリングスは「体重」を求めていた...神が「脚…
  • 10
    スーパーマンが「明るいヒーロー像」を引っ提げて帰…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 5
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 6
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 7
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 8
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 9
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 10
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中