最新記事
UAP

証拠が1、2年後には発見も!?地球外生命の研究は「痕跡」を探す科学的分析へ

Are We Really Alone?

2024年2月2日(金)17時08分
エリー・クック

240206p64_UFO_02.jpg

米国防総省傘下の情報機関に属していたデービッド・グラッシュは、米政府がUFOなどの情報を隠蔽していると米下院の委員会で証言した(2023年7月) DREW ANGERER/GETTY IMAGES

ケーブルテレビ局ニュースネーションの番組に出演したグラッシュは、米政府はこうした人間ではない物体を「かなりの数」保有していると述べたほか、彼の仕事においては「パイロットの死体に遭遇することもある」と語った。

昨年7月に米下院監視委員会の公聴会に出席したグラッシュは、米政府の極秘調査から締め出されていると証言した。

その一方で、彼自身は宇宙人や宇宙船を見ていないが、「情報機関高官」から直接話を聞いたし、報告書や説得力のある写真を見たという。

だが、国防総省はグラッシュの主張を完全に否定し、「地球外物質を保有したり、リバースエンジニアリング(構造分析)したりするプログラムが存在するという(グラッシュの)主張を裏付ける情報」はないとしている。

真実をふるいにかける

グラッシュ自身、機密情報を漏らせば刑事責任を問われる恐れがあるとして詳細な証言を避けた。

このため専門家は、議会の注目を励みにしつつ、真実をふるいにかけ、空想が交じっていることも多いエピソードから真実を抽出する作業に力を入れている。

ハーバード大学のガリレオ・プロジェクトはそうした試みの1つで、ハーバード大学天文台で赤外線と光学技術、そして音声技術を駆使して夜空を徹底的に探り、科学的に分析している。

「空の映画を撮っているようなものだ」と、ローブは言う。

また彼は、「私は科学者として、質の高いエビデンスを求めている」とも語る。

「それがなければ仕事にならない」

地球外知的生命探査(SETI)の非営利団体SETI研究所のセス・ショスタク上級研究員も、第三者が検証できる証拠がなければ、「科学ではなく、噂話にすぎない」と語る。

ショスタクは、「宇宙人を見た」という報告がアメリカに集中していることや、陰謀論の蔓延に懸念を示すが、新たな分析手法の登場や、研究者の増加に大きな期待を抱いている。

この分野の研究は過去1年ほどで、地球外生命そのものを探すことから、太陽系内外でその痕跡を探すことへと重点が移ってきたと、コッパーラプは語る。

人間が化石燃料を燃やしたり、化学物質を使ってきたように、他の天体にもこうした痕跡が見つかるかもしれないというのだ。

コッパーラプ自身、生命が存在する可能性のある惑星を探してきた。それは農耕の痕跡かもしれないし、人類よりもはるかに進んだ技術の痕跡かもしれない。

いずれにしろ、こうした研究が積み重なれば、画期的な発見がいつもたらされてもおかしくないと、コッパーラプは大きな期待を抱いている。

ニューズウィーク日本版 コメ高騰の真犯人
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月24日号(6月17日発売)は「コメ高騰の真犯人」特集。なぜコメの価格は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン主要濃縮施設の遠心分離機、「深刻な損傷」の公

ワールド

欧州委、米の10%関税受け入れ報道を一蹴 現段階で

ワールド

G7、移民密輸対策で制裁検討 犯罪者標的=草案文書

ワールド

トランプ氏「ロシアのG7除外は誤り」、中国参加にも
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 7
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    コメ高騰の犯人はJAや買い占めではなく...日本に根…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中