最新記事
2024米大統領戦

バイデンがトランプ陣営から学ぶべきこれだけのこと

How to Beat Trump

2024年1月31日(水)13時10分
デービッド・ファリス(米ルーズベルト大学政治学部准教授)

240206p38_BDS_03.jpg

今年1月24日、バイデン支持を決定した全米自動車労組で演説 TING SHENーPOOLーSIPA USAーREUTERS

トランプ陣営に学ぶこと

バイデン陣営は、トランプを暴君として描く方法も見直す必要がある。彼らによるトランプの描写は、「支離滅裂な過激派のリーダー」であることを十分強調していない。トランプの物忘れや勘違いをあざ笑うのではなく(これはバイデンにとっても嫌な話題のはずだ)、トランプの過激な思想や危険な取り巻きを容赦なくたたく必要がある。

この手の戦術については、バイデンはそろそろ敵対勢力から学んだほうがいい。極右は左翼陣営から格好の攻撃材料を拾い上げ、その解釈をねじ曲げ、民主党はこんなひどいことを主張していると巧みに喧伝する。民主党も負けじとこのゲームに加わるべきだ。

極右陣営にはゆがんだ危険思想がごろごろ転がっているし、いかれた過激主義者もいくらでもいる。民主党がその気になれば、それらを掘り出して危険性をアピールできる。

過激主義者の代表格は、FOXニュースのトーク番組の常連で、自己利益のためにトランプに尻尾を振るチャーリー・カーク。彼が設立した青年組織「ターニングポイントUSA」は品性を欠いた愚かな主張や白人至上主義のバカ騒ぎで知られる。カークは公民権運動の父マーチン・ルーサー・キングを「ひどい」人物、「善人ではない」と評し、国の祝日である「キング牧師の日」をキングたたきに費やした。当然ながら公民権法も「壮大な過ち」と呼んで目の敵にしている。

バイデン陣営はなぜ、トランプの取り巻きのこうしたトンデモ発言を問題にして、トランプ支持者に再考を促そうとしないのか。

こうした危険な連中とトランプのつながりを暴露するなら今がチャンスだ。遠慮は要らない。堂々とやること。例えば、トランプが親ナチスのニック・フエンテスと仲良くディナーを共にしたことを選挙CMでアピールしてもいい。フエンテスはたびたびヒトラーをたたえ、ユダヤ人をこき下ろし、「この世ではキリストの敵に未来などない」と公然と言い放っている。

人の不幸に付け込む、こうしたならず者たちの名前と、彼らとトランプの深い関係が広く知られていないのは、民主党指導部のエリートたちの不作為の罪と言っていい。

これから9カ月、民主党員はトランプの名を口にするたびに、必ず「過激主義の」という形容詞を付けること。そしてあらゆる機会を捉えて、トランプが憎悪に満ちた陰謀論や荒唐無稽なフェイクニュースを広める連中と太いパイプで結ばれていることを有権者に知らせるべきだ。

最後に、バイデンは反トランプのより効果的なネガティブキャンペーンだけでなく、自身についてのポジティブキャンペーンも繰り広げる必要がある。民主党支持の有権者が最も関心を持っている争点について、もっともっと言葉を尽くして語るべきだ。

資産運用
「高市トレード」に「トランプ関税」......相場が荒れる今こそ投資家が目を向ける「世界通貨」とは
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:欧州で若者向け住宅購入の新ビジネス、価格

ワールド

焦点:道半ばの中国「社会保険改革」、企業にも個人に

ワールド

昨年の関税合意実施を米と確認、日本が不利にならない

ビジネス

米国株式市場=続落、ダウ453ドル安 原油高と雇用
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だったはずの中国が、不気味なまでに静かな理由
  • 2
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示さない
  • 3
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗雲...専門家「イランの反撃はこれから」「報道と実態にズレ」
  • 4
    10歳少女がライオンに激しく襲われる...中国の動物園…
  • 5
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 6
    「みんな一斉に手を挙げて...」中国の航空会社のフラ…
  • 7
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 8
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 9
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 10
    【WBC】侍ジャパン、大谷翔平人気が引き起こした球場…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 10
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中