最新記事
日本社会

日本の他殺被害者のうち0歳児が断トツで多い理由

2023年9月27日(水)11時15分
舞田敏彦(教育社会学者)

虐待が高じ、幼い命が奪われるケースもある。厚労省の内部統計に当たってみると、2013~22年の10年間で、「他殺」という死因で亡くなった6歳未満の乳幼児は190人。多くが家族による虐待死だろう。各年齢の他殺被害者数をつないだグラフにすると、驚くべき事実が出てくる<図2>。

data230927-chart02.png

大人も含めた他殺死亡者数だが、0歳の乳児がダントツで多い。望まない妊娠・出産による遺棄や虐待死と推測される。加害者には、妊娠を届け出ず、行政や医療との接点を持たないで出産した女性が多いという(厚労省)。若年出産や貧困という要因が加わると、孤立(抱え込み)の闇はさらに深くなる。相談機関の情報をSNS等で提供する、妊娠の確定診断の費用を補助するといった支援が求められる。

児童虐待の防止には人員が必要となるが、現状では不足している。世の中には「公」と「私」の仕事があり、成熟社会になるにつれ前者の比重が増してくる。日本の労働者の公務員比率は10%ほどだが、北欧の諸国では半分近くにもなっている(ISSP 2019 - Social Inequality V))。ロスジェネの活用等も視野に入れ,公務員を増やすことも検討すべきだろう。

<資料:「ISSP 2012 - Family and Changing Gender Roles IV」
    厚労省『人口動態統計』

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ベネズエラ石油収入の差し押さえ阻止へ大

ビジネス

パウエルFRB議長を捜査、米連邦検察 本部改修巡り

ワールド

トランプ氏、キューバに圧力 ベネズエラからの石油・

ワールド

イラン抗議デモで死者500人超、介入なら「米軍基地
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画をネット民冷笑...「本当に痛々しい」
  • 4
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    飛行機内で「マナー最悪」の乗客を撮影...SNS投稿が…
  • 10
    決死の嘘が救ったクリムトの肖像画 ──ナチスの迫害を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 10
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中