最新記事
ロシア

爆撃機を守る無数のタイヤ、ドローン攻撃に対するロシア苦肉の策

Ukraine mocks Russia on aircraft armor made of used tires

2023年9月7日(木)16時42分
ケイトリン・ルイス

日本の領空を侵犯して自衛隊機を緊急発進させたTu-95(2013年8月22日)REUTERS/Defense Ministry of Japan/Reuters

<喜んだのはウクライナ国防省で、早速皮肉を投稿>

【動画】米、ロシアの「あおり運転」戦闘機によるドローン衝突の映像公開

ロシアの空軍基地に駐機している戦略爆撃機TU95の翼が、中古タイヤで覆われた衛星写真が話題になった。ロシア国内の基地に対するドローン攻撃が増えたため、機体を守るつもりでタイヤを置いたとみられる。

写真は9月3日にX(旧ツイッター)に投稿された。投稿したのはウクライナの予備役兵を自称する「Tatarigami_UA」で、ロシアが西部サラトフ州にあるエンゲルス空軍基地に駐機している複数のTU95の機体を中古タイヤで覆っている、と書き添えた。

ウクライナ国防省は喜んで、この写真に「戦略爆撃機を中古タイヤでドローンから守る。これがロシアのノウハウだ」というコメントを付けて再投稿した。「環境にやさしく、効果的で頼れる守りだ。(月面に衝突した)ロシアの無人月探査機『ルナ25』にもこんな防護があればよかったのに!」と皮肉った。

犯人はヘリ型ドローン?

この数カ月、ロシアの空軍基地に攻撃が増えている。8月末にはロシア北西部の空港がドローン攻撃を受け、ロシア軍の輸送機4機を含む最大7機の航空機が破壊された。ロシア政府はウクライナ側の仕業だと非難しているが、ウクライナは一連の攻撃について直接的な関与は認めていない。

ロシアの独立系メディア「ヴェルストカ」は8月末、ロシア国防省が公開済みのデータや報告書を引用して、2022年2年のウクライナ侵攻開始以降、ロシアの領土外でロシア軍の航空機24機が破壊されていると報じた。

また8月中旬にロシアのノブゴロド州にある空軍基地へのドローン攻撃で超音速長距離爆撃機TU22M3 1機が破壊された後、イギリスの情報当局は、一連のドローン攻撃はロシア国内から行われている可能性があるとの見方を示した。ロシア政府は、爆撃機を破壊したのはヘリコプター型のドローンだったと主張した。攻撃を受けた空軍基地は、ロシアとウクライナの国境から約640キロも離れている、と。

イギリス政府は、本当にヘリコプター型無人航空機による攻撃なら「ロシア領内から行われた可能性が高い」と指摘した。ロシア国外から目標に到達できるだけの航続距離はないからだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税の影響で

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任へ=関係筋

ビジネス

物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日

ビジネス

マクドナルド、世界の四半期既存店売上高が予想外の減
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中