最新記事

米大統領選

バイデンがまた共和党に攻撃材料?「私は9.11テロの翌日現場にいた」発言はどこからきたのか

Where Was Joe Biden on Day After 9/11? President's Story Raises Questions

2023年9月13日(水)14時34分
イワン・パーマー

9.11テロの22回目の記念日にアラスカの米軍基地でおかしな演説をしたバイデン REUTERS/Evelyn Hockstein

<ニューヨークで起きた同時多発テロから22年になる9月11日、バイデンは演説でテロの翌日現場にいたという話をしたが、その真偽が疑われている>

【写真特集】ポルノ女優から受付嬢まで、トランプの性スキャンダルを告発した美女たち

ジョー・バイデンは2001年9月11日に起きた同時多発テロの翌日、ワールドトレードセンターの跡地を訪れたと主張し、非難を浴びている。当時、上院議員だったバイデンがその日にニューヨークにいたという記録がまったくないからだ。

アメリカ史上最悪のテロ攻撃から22年目を迎えた9月11日、バイデンはアラスカの軍事基地で行った演説のなかで、この話をした。

80歳という高齢のバイデンが2期目を務めることには不安があるという声が少なくないなか、共和党はバイデンの失言に注目している。2022年10月、バイデンは自分のことを「イラクで命を落とした男」の父親だと発言したが、これは誤った発言だった。明らかにイラク戦争に従軍した長男のボー・バイデンのことを指しているが、ボーは15年にメリーランド州ベセスダのウォルター・リード国立軍事医療センターで脳腫瘍のため死亡した。

バイデンは11日、アンカレッジのエルメンドルフ・リチャードソン合同基地で演説し、9・11テロについてこう語った。「私はこの厳粛な日に、あなた方とともに神聖な誓いを新たにする。決して忘れない。私たちは決して忘れない。尊い命が、ニューヨークのグラウンドゼロに対する悪の攻撃によってあまりにも早く奪われたことを。テロの翌日、私は現場に行って崩壊した建物を見たことを覚えている。地獄の門を覗いたような気がした。崩壊の現場には近づくことができず、だからこそ悲惨さが際立っていた」

バイデンはどこにいた?

2001年9月12日にバイデンがグラウンドゼロにいたという記録はない。だが彼はその日、ワシントンの上院でスピーチを行い、その中で、テロ攻撃を仕掛けた者たちは、文明世界を団結させることに成功したと述べていた。

2007年の回顧録『守るべき約束:人生と政治について』でも、バイデンは2001年9月12日に連邦議会議事堂に戻ったと書いているが、ニューヨークの世界貿易センタービルの焼け跡を訪れたことについては触れていない。

本誌の取材に対し、ホワイトハウスの報道官は、バイデンは01年9月20日に上院議員団の一員としてグラウンドゼロを訪問したとは述べたが、9月12日に現場にいたという主張についてはコメントしなかった。

2001年9月11日、イスラム過激派組織アルカイダのテロリスト19人が4機の民間旅客機をハイジャックした。そのうち2機が世界貿易センタービルのツインタワーにそれぞれ突っ込み、もう1機はバージニア州アーリントン郡のペンタゴンに突撃した。4機目の旅客機は、乗客が事態に気づきコックピットを襲撃しようとした後、ペンシルベニア州の田舎に墜落した。

このテロで3000人弱の死者が出たが、その大半は、旅客機が突っ込んでから1時間足らずで崩壊した世界貿易センターのツインタワーのなかにいた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米鉱工業生産、4月製造業は0.3%低下 市場予想下

ビジネス

米4月輸入物価、前月比0.9%上昇 約2年ぶり大幅

ワールド

EXCLUSIVE-トルコ、予算削減額は予想上回る

ビジネス

米金利維持が物価目標達成につながる=クリーブランド
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇跡とは程遠い偉業

  • 3

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃のイスラエル」は止まらない

  • 4

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 5

    半分しか当たらない北朝鮮ミサイル、ロシアに供与と…

  • 6

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 7

    2023年の北半球、過去2000年で最も暑い夏──温暖化が…

  • 8

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    仰向けで微動だにせず...食事にありつきたい「演技派…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中