最新記事

プリゴジン

プーチンの邪魔になったプリゴジン、自分の「空中分解」死を予見していた?

Video of Prigozhin Predicting 'Plane Will Fall Apart in Midair' Resurfaces

2023年8月29日(火)14時55分
トーマス・キカ

プリゴジンに捧げられた写真とワグネルの旗(左) (8月24日、サンクトペテルブルクのワグネル本部で)REUTERS/Anastasia Barashkova

<墜落事故の直後、プリゴジンのある動画がSNSに流れ始めた。そのなかでプリゴジンは、空から落ちる飛行機について言及していた......>

飛行機事故で劇的な死を遂げたロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者、エフゲニー・プリゴジンが生前、飛行機の「空中分解」について語った動画が再浮上して話題になっている。

<動画>プリゴジン「宮殿」のお宝拝見!

8月23日、モスクワ北西のトヴェリ州でジェット機が墜落し、搭乗していた10人全員が死亡したと報じられた。搭乗者名簿にプリゴジンの名があり、墜落現場から回収された遺体のDNA鑑定により、死亡が確認された。

この墜落は公式には事故とされているが、ウラジーミル・プーチン大統領の敵や批判者が、疑わしい状況で唐突に死亡する長年のパターンにも合致している。プリゴジンは2023年6月、ロシア軍上層部が無能なせいで自分の戦闘員たちが死んでいると主張した後、部隊と共にモスクワに進軍を開始した。反乱は未遂に終わったが、このときからプリゴジンはプーチンにとって許し難い存在になったと見られている。

ロシア政府は、墜落がプーチンの命令で実行されたとする説を、偽りだとして強く否定している。

空中分解はロシアの運命?

墜落事故の直後、プリゴジンの過去の動画がソーシャルメディア上に流れ始めた。その動画のなかでプリゴジンは、空から落ちる飛行機について言及しており、これはのちの自身の死と不吉に響きあっている。ウクライナのアントン・ゲラシチェンコ内相顧問は、プリゴジンはこの動画で自身の死を予言していると言うが、実際の文脈では、プリゴジンは飛行機事故を、悪化しつつあるウクライナでの戦況の比喩として用いている。

「エルサレム・ポスト」によれば、プリゴジンのこの動画は、ロシアの軍事ブロガー、セミョン・ペゴフによる4月29日のインタビューの一部だという。プリゴジンはこの動画のなかで、戦況の不利を正直に語る者をロシア政府が駆逐しているとして、ロシア軍幹部を非難し、ウクライナでの大失敗を予言している。

プリゴジンはインタビューのなかで、「今日、われわれは我慢の限界に達した」と述べる。「なぜわたしは正直に語っているのか? なぜなら、この国で生きる人々を前にして、わたしには嘘をつく権利などないからだ。人々はいま、嘘をつかれている。(真実を語らせたくないなら)わたしを殺したほうがいい。だが、わたしは嘘をつかない。ロシアは破滅の瀬戸際にある、と正直に言わなければならない。いますぐ手を打たなければ、飛行機は空中分解してしまうだろう」

エルサレム・ポストの伝えるところによれば、テレグラム上で公開されたこのインタビューに対する反応のなかには、墜落事故は目くらましであり、しばらくしたらプリゴジンは戻ってくるだろうと予言したものもある。ただし、それはDNA鑑定で遺体がプリゴジンのものと確認される前のものだ。
(翻訳:ガリレオ)

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン大統領、31万人に学生ローン免除 美術学校

ワールド

米名門UCLAでパレスチナ支持派と親イスラエル派衝

ビジネス

英シェル、中国の電力市場から撤退 高収益事業に注力

ワールド

中国大型連休、根強い節約志向 初日は移動急増
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 7

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 8

    なぜ女性の「ボディヘア」はいまだタブーなのか?...…

  • 9

    衆院3補選の結果が示す日本のデモクラシーの危機

  • 10

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中