最新記事
事故

カナダ当局、タイタニック号ツアー潜水艇タイタン損壊事故の調査開始 専門家は素材のカーボン使用を問題視

2023年6月26日(月)11時39分
ロイター
「ポーラー・プリンス」号を調査するTSBの担当者ら

英豪華客船タイタニック号の残骸を見るツアー中に損壊した潜水艇「タイタン」について、カナダの運輸安全委員会(TSB)が調査を開始したと発表した。写真は25日、「ポーラー・プリンス」号を調査するTSBの担当者ら(2023年 ロイター/David Hiscock)

英豪華客船タイタニック号の残骸を見るツアー中に損壊した潜水艇「タイタン」について、カナダの運輸安全委員会(TSB)が23日、調査を開始したと発表した。

海面でタイタンの支援を行っていた「ポーラー・プリンス」がカナダ船籍であるとの理由で、タイタンの運営状況に関して安全上の調査に乗り出したと説明。既に調査チームが情報収集と関係者聞き取りのため、事故現場の北方約400マイルにあるニューファンドランド島セントジョンズに向けて出発したという。

専門家の間では、ツアー運営会社オーシャンゲートと同社の最高経営責任者(CEO)でタイタンを操縦していたストックトン・ラッシュ氏が、タイタンの設計仕様に関して第三者機関の認証手続きをしていなかった点を指摘する声が聞かれた。

またタイタンの材質にカーボンファイバー(炭素繊維)が使われていたことを問題視する見方も出ている。

資産家で海洋探査プロジェクト「オーシャンX」を立ち上げたレイ・ダリオ氏は「オーシャンゲートは他社が避けてきた材質で実験的な潜水艇を造り、安全を担保するための認証手続きは省略する決定を下し、業界の多くの専門家からの警告を無視する道を選んだ」とリンクトインに批判的な意見を投稿した。

英国のタイタニック号探検家ディック・バートン氏も、タイタンの設計やメンテナンスを巡っては多くの専門家が危険性を訴えていたと述べた。

今回のツアーに息子とともに参加する直前で見送りを決めたとロイターに明かしたラスベガスの投資家、ジェイ・ブルーム氏は、ビデオゲームの操作スティックがタイタンの部品に使われていたことや、緊急時の脱出が難しい構造などの面で特に不安を感じたと話した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


SDGs
「SDGs認証」の可能性とは?...日本サステナブルビジネス機構(JSBO)が有識者フォーラムを6/10に開催
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

関税の即刻見直しかなわないなら、合意は困難=日米交

ワールド

トランプ氏、中国の関税合意違反を非難 厳しい措置示

ワールド

中国、ブラジル産鶏肉の輸入全面禁止 鳥インフル発生

ビジネス

マクロ系ヘッジファンドへの関心高まる、市場の変動に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中