最新記事
新兵募集

ゲームおたくをドローン要員に ワグネルが新たな人材を募集

Wagner Group Now Recruiting Russian Gamers To Fly Drones Into Ukraine

2023年6月21日(水)16時23分
ブレンダン・コール

内勤もあり?写真は2022年11月にオープンしたワグネルの本社ビル(サンクトペテルブルク、ロシア)Igor Russak-REUTERS

<受刑者を雇って戦地に送ってきたワグネルが、今度はコンピュータの知識を求めている。またワグネルの下で戦った元受刑者には恐ろしい暴力犯も混じっていたことが明らかになった>

<動画>ロシア塹壕の近接戦 *閲覧注意

ロシアの民間軍事会社ワグネル・グループは、人員増強のための人材募集を始めた。なかでも積極的に募集しているのがゲーマーだ。

「プーチンのシェフ」と言われたエフゲニー・プリゴジン率いるワグネルの傭兵部隊は、ロシアの本格的なウクライナ侵攻において、ドネツク州のバフムト攻防戦の先頭に立ち、大きな損失を被った。

失った人員の一部を補充するにあたって、ワグネルは求職者の特定のスキルを見ているようだ。

6月19日にワグネルはロシア最大のSNS「フコンタクテ」に求人広告を出し、ドローンの管理を担当する専門家を募集した、と独立系ニュースメディア「ベルトスカ」は報じた。

応募の条件として、年齢は21歳以上35歳未満、健康状態が良好で、コンピュータの知識があること、とされている。

さらに、ジョイスティックを使うシミュレーターの経験者や「何時間も座ってプレイできる」ゲーマーは有利だという。ワグネルが求めるのは、「新しい専門分野を学び、世界中で働きたい」という意欲のある人材だ。

ベルストカによると、求人広告には「特殊軍事作戦への参加は義務ではない」と書かれていた。

軍歴は問わない

ベルトスカの記事によれば、記者が求職者を装ってワグネルの採用担当者に連絡を取ったところ、面接で年齢、犯罪歴、健康状態などの標準的な質問と、どのような機器を扱いたいかを尋ねられたという。

また、「ドローンには2種類あり、ヘリコプターやもっと本格的な機材もある」と言われた。ワグネルはアフリカにも進出しているが、ウクライナとアフリカのどちらで働きたいか、とも聞かれたという。そして、採用担当者は軍歴がないことは「問題ない」と言った。

ワグネルはこれまで、刑務所にいる受刑者を「徴兵」してきた。6カ月間の勤務契約にサインすれば、恩赦の見込みがあると持ち掛けたのだ。

プリゴジンは今年1月、受刑者の採用はやめると発表した。だが、軍務と引き換えに恩赦を提供する刑務所からの徴兵活動は、今もロシア国防省が行っている。

19日に発表されたベルトスカの報告書によれば、ロシア軍の傭兵部隊「ストームZ」に所属する兵士の一部は暴力犯罪の重罪犯だったという。

親ロシア政府派の週刊紙アルグメントゥイ・イ・ファクトゥイは今年5月、ウクライナのザポリージャ地方のロシア占領地からの報告のなかで、ロシア軍第71衛兵運動化ライフル連隊の陣地を訪れたところ、部隊の前方はストームZ部隊に所属する前科者で占められているという事実を伝えた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国最高裁、李在明氏の無罪判決破棄 大統領選出馬資

ワールド

イスラエルがシリア攻撃、少数派保護理由に 首都近郊

ワールド

学生が米テキサス大学と州知事を提訴、ガザ抗議デモ巡

ワールド

豪住宅価格、4月は過去最高 関税リスクで販売は減少
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中