最新記事
ウクライナ情勢

ワグネルが「軍事的反乱」を企てる──元ロシア軍情報将校

Putin Faces Threat of 'Military Mutiny,' Former Russian Commander Warns

2023年5月1日(月)17時33分
ファトマ・ハレド

プリゴジンは4月30日、今すぐ弾薬を送らなければバフムトから撤退するとロシア政府を脅した Yulia Morozova-REUTERS

<ワグネル創設者プリゴジンは、弾薬を送ってくれないなら激戦地バフムトから撤退すると発言。それ自体がすでに反乱に等しい、と元ロシア軍情報将校は言う>

元ロシア軍情報部門将校で、ウクライナ東部の親ロシア派武装勢力の司令官も務めたイーゴリ・ギルキンは4月29日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が民間軍事会社ワグネルの「軍事的反乱」に直面するかも知れないと警告した。ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジンは、補給不足が続くなら激戦が続くウクライナ東部バフムトから撤退すると述べている。

ギルキンはメッセージアプリのテレグラムで、「最高司令部の同意なしに前線からの」撤退を命じるのは「軍事的反乱以外の何物でもない」とする投稿を行った。

ワグネルはバフムト攻略戦においてロシア軍とともに戦い、大きな役割を果たしてきた。だがプリゴジンは弾薬の支給も支援も不十分だとして、ロシア国防省を繰り返し公然と批判してきた。

同じく29日にギルキンはテレグラムで、プリゴジンが28日までに弾薬の供給不足が解消されなければワグネルの部隊をバフムートから撤退させると警告したことについて、ロシア軍上層部に対する「公然の」脅迫だと述べた。

撤退すればロシア側には大きな痛手に

ギルキンはワグネルが撤退すれば、近々始まると見られるウクライナの反転攻勢を前にロシア側に「壊滅的な打撃」を与える可能性があることはプリゴジンも承知していると主張した。反攻の準備を進めるウクライナに対し、アメリカを含む西側諸国は先進的な軍事装備品や戦車、ミサイルなどを支援している。

ギルキンはまた、プリゴジンがロシアのセルゲイ・ショイグ国防相への書簡の中でワグネルの撤退の可能性をちらつかせたと述べた。一方、ロイターは28日、プーチン政権からの支援が不十分なためにワグネルが多数の死傷者を出しているとのプリゴジンの発言を伝えている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、FRBの慎重姿勢で広範に買

ビジネス

米国株式市場=主要3指数が最高値、利下げ再開を好感

ビジネス

米CB景気先行指数、8月は予想上回る0.5%低下 

ワールド

イスラエル、レバノン南部のヒズボラ拠点を空爆
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中