最新記事
野生動物

子供を食い殺したワニを、家族らが集団で殴り殺す...野生動物「保護法」違反で家族ら処分か(インド)

2023年6月18日(日)13時10分
スマン・バランダニ
野生のワニ

f9photos/iStock

<14歳の少年が大型のワニに襲われて死亡し、家族を含む地元の人々がワニを撲殺。その様子を捉えた映像が注目を浴びている>

インド東部で、14歳の少年がワニに襲われて川に引きずり込まれ、死亡する事件が起きた。ワニはその後、少年の家族を含む現場の人々によって棒で何度も殴られ、殺された。その様子は現場にいた人によって撮影されており、映像が公開されるとネットで大きな話題となったが、一方で野生動物保護に反するとして地元当局が捜査に乗り出す事態となった。

■【動画】閲覧注意:少年を川に引きずり込んで殺した巨大ワニを取り囲み、棒で殴り殺す人々

事件は、東部ビハール州バイシャリにあるガンジス川の中州ラグホプール・ディヤーラ島で発生した。ダルメンドラ・ダスさんと家族は宗教儀式のためにガンジス川のほとりにおり、息子のアンキットさんが儀式のために川の水を汲みに行ったところ、ワニに襲われ、川の中に引きずり込まれた。

1時間後、家族がアンキットさんをガンジス川から引き上げたが、その時にはすでに息絶えていたという。

家族はその後、川岸に集まった人々とともに、ワニを捕獲した。インディア・タイムズによると、地元住民らはワニを捕らえるために漁網を設置したという。現場で撮影された映像には、ワニが動かなくなるまで周囲の人々が執拗に殴り続ける様子が捉えられている。この映像は注目を集め、ネット上で瞬く間に拡散した。

野生動物の保護法に反すると当局が調査

アンキットさんの祖父であるサカルディップ・ダスさんはNDTVに対し、「私たちは新しいバイクを購入し、『プージャ』のために沐浴をし、聖水を得ようとガンジス川に入った。彼(アンキットさん)がワニに捕まり、川の中で死んでしまった。1時間後にアンキットの遺体を引き上げることができ、その後、ワニも引きずり出されて殺された」と語った。

プージャとは礼拝の儀式であり、家庭で行う短時間の日常的なものから、寺院で行う手の込んだ本格的なものまでさまざまな形式がある。

ただ今回の事件について、地元当局は厳しく対応するつもりのようだ。当局関係者はワニを撲殺した人々を強く非難し、自警団的な行動を避けることの重要性を強調するとともに、野生動物に関連する事件が発生した場合には、関係当局に速やかに通報するよう呼びかけている。

当局は、こうした事件が発生した時点で通報を受ければ、迅速かつ適切な措置を取ることができるとしている。なお今回の事件については、森林当局が調査にあたっているという。

当局者はインディア・タイムズに対し、「ワニが殺されたとの報告があった。理由はまだわかっていない。森林当局の職員が現地に赴き、調査を行っているところだ。野生動物保護法に違反した者に対しては、処分が下される」と述べた。


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されずに「信頼できない人」を見抜く方法
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中