最新記事
ウクライナ情勢

ロシアに大規模攻撃の余力はない──ウクライナ軍情報トップ

Russia Has 'No Potential' for Large Offensive: Ukraine Intelligence Chief

2023年5月8日(月)17時51分
エリー・クック

これから前線に行くロシア兵たち(2月19日、ロストフ・ナ・ドゥ) Sergey Pivovarov-REUTERS

<ウクライナの反転攻勢は今成功させなければ、二度目のチャンスはない>

【動画】味方の司令官とみられる男性に、ロシア兵たちがシャベルで殴りかかる瞬間

ウクライナ軍の情報トップが、ロシアには「ウクライナ領内で再度の大型攻勢を試みる」力は残っていないとの見方を示した。

米ヤフーニュースは6日、ウクライナ国防省のキリロ・ブダノフ情報局長のインタビュー記事を公開した(取材日は4月24日)。この中でブダノフは「今日の時点で、ロシアには軍事的にも経済的にも政治的にも、ウクライナ国内のどこであれ、再度の大型攻勢を試みる力はない」と述べた。

ブダノフに言わせれば、ロシアのミサイルの在庫は枯渇しつつある。それでもロシアには今も「大規模な防衛戦を行う能力は十分にある」という。

「これこそが、われわれが直面しようとしている問題だ」とブダノフは述べた。「ロシアは(ミサイルの)在庫をまとめて、ウクライナの攻勢を防ぐためにそれを配備しようとしている。だが実際のところ、すでに在庫はゼロに近いのだが」

ウクライナはこの春にロシア軍に対する反転攻勢に出ると見られている。だが今後の軍事戦略に関し、ウクライナ政府の口は固い。

アメリカのシンクタンク、戦争研究所は6日、ウクライナの反転攻勢を前に、ロシアはウクライナ各地で「防衛戦」を戦うため、兵站などの検討に力を注いでいるようだと指摘した。

反攻を世界が「過大評価」?

反攻がどんな形になるかは分かっていないが、ウクライナのオレクシー・レズニコフ国防相は4月末に、「準備はまもなく終わる。兵器や軍の装備品に加え、兵士たちにその使い方の訓練を施す必要がある」

レズニコフはメディアに対し「われわれは(西側諸国から)最新鋭のシステムを受領した」と述べた。

5月初め、ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者、エフゲニー・プリゴジンは、「ウクライナ軍の前進はすでに始まっている」との考えを述べた。

ロイターによればプリゴジンは「非常に近い将来、(戦況は)活動期に入ると考えている。それは数日後のことかもしれない」と述べた。

ウクライナ政府は以前から、ロシアに占領された地域(2014年に併合されたクリミア半島を含む)の奪還に努めているとしてきた。

だがチェコのペトル・パベル大統領は英紙ガーディアンに対し6日、ウクライナ政府は「作戦を成功させるのに必要なものがまだそろっていないと感じている」との見方を伝えた。

パベルはこうも述べた。「もし反攻が失敗すれば、ウクライナにとっては大きな痛手となるだろう。なぜなら少なくとも年内は、チャンスは2度とないからだ」

「われわれの反攻作戦の見通しは世界で過大評価されている」とレズニコフは述べたと、6日のワシントン・ポストは伝えている。


ニューズウィーク日本版 日本時代劇の挑戦
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月9日号(12月2日発売)は「日本時代劇の挑戦」特集。『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』 ……世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』/岡田准一 ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ネトフリ、米ワーナー買収入札で最高額提示か 85%

ワールド

マクロン氏、中国主席と会談 地政学・貿易・環境で協

ワールド

米国、タンザニアとの関係見直し表明 選挙暴力と自由

ワールド

ブラジルGDP、第3四半期は前期比0.1%増に減速
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 6
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 7
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 8
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 9
    【トランプ和平案】プーチンに「免罪符」、ウクライ…
  • 10
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 10
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中