最新記事
台湾有事

【米インド太平洋軍司令官】2027年だろうと今年だろうと、台湾有事には中国軍と「戦って勝つ」

China threat trending in "wrong direction," top Pacific commander warns

2023年4月20日(木)17時00分
ジョン・フェン

台湾を守るのが責務と語ったジョン・アキリーノ米インド太平洋軍司令官(写真は3月16日、シンガポール) Caroline Chia-REUTERS

<中国の台湾侵攻はもはや可能性の問題ではなく、時期の問題になってきた。昨年来相次いだ米専門家の予想によると、その時期は2027年から、早ければ今年にもやってきそうだ>

米インド太平洋軍(司令部はハワイ)のジョン・アキリーノ司令官が、4月18日に米下院軍事委員会の公聴会に出席。台湾海峡における武力紛争は避けられない事態ではないが、いざ有事の際には「戦って勝つ」と話した。

【動画】中国の台湾侵攻が失敗するこれだけの理由

アキリーノは、中国の習近平国家主席は2027年までに台湾侵攻の準備を行うよう軍に指示しているが、最終的な決断には幾つもの要因が影響を及ぼす可能性があると指摘した。「台湾侵攻のタイミングについては色々言われているが、いずれも推測だろう」と述べた。

前司令官のフィリップ・デービッドソン退役海軍大将は、同軍司令官だった2021年3月に、中国は「今後6年以内に」台湾を侵攻する可能性があると発言。次期インド太平洋軍司令官に指名されていたアキリーノは、同月の指名承認公聴会で、中国による台湾侵攻の可能性は「大多数の人が考えるよりもずっと間近に迫っている」との見方を示していた。

アキリーノは18日の公聴会で、このことに関する質問に答える形で、「私にとって今や、中国がいつ台湾に侵攻するかは問題ではない」と述べ、さらにこう続けた。「私は現在、この戦争を阻止する責任、そして抑止が失敗した場合には戦って勝利する責任を担っている」

「脅威は増大し間違った方向に進んでいるのは間違いない。だが米軍は、いかなる不測の事態にも対応する準備ができている」

海軍作戦部長は「早ければ2023年」と警告

中国が急速に軍の近代化と増強を行っていることについて、アキリーノは「それが軍事力の均衡を目指したものかどうかは分からない。習近平による台湾侵攻の決断には、数多くの不確定要素が影響を及ぼすと考えている」と述べた。「習近平に日々、台湾への軍事侵攻は誤った選択だと納得させるのが我々の仕事だ」

台湾有事の時期については、冒頭陳述の中で「戦争は避けられないものではなく、差し迫っている訳でもない」と述べる一方で「時間的な余裕はない」とも釘を刺した。

米軍の複数の高官が昨年来、太平洋西部(台湾海峡)での紛争が迫っている可能性があると警告してきた。

1月には米空軍の航空機動司令部を率いるマイク・ミニハン大将が、流出した内部メモの中で、「私が間違っていることを願う」とした上で、「2025年に米中間で戦闘が起こる予感がする」と述べていた。

2022年10月には、米海軍作戦部長のマイケル・ギルデイ大将が、早ければ2023年に台湾有事が起きる可能性があり、アメリカはその備えをすべきだと警告。「その可能性は排除できない。大げさなことを言って危機感を煽るつもりはないが、願うだけでは危機はなくならない」

日本企業
タイミーが仕掛ける「一次産業革命」とは? 農家の「攻めの経営」を後押しするスキマバイトの可能性
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

高市首相「首脳外交の基礎固めになった」、外交日程終

ワールド

アングル:米政界の私的チャット流出、トランプ氏の言

ワールド

再送-カナダはヘビー級国家、オンタリオ州首相 ブル

ワールド

北朝鮮、非核化は「夢物語」と反発 中韓首脳会談控え
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 5
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 8
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中