最新記事
ロシア

「ロシアは中国の植民地になる勢いだ」──CIA長官

Putin Risks Turning Russia Into China's 'Economic Colony': CIA Director

2023年4月13日(木)21時30分
ジョン・フェン

プーチンは、習近平の真意を読みきれないまま深入りしているとバーンズは言う(3月21日、クレムリン) Sputnik/Alexei Maishev/Kremlin/REUTERS

<プーチンは「壮大なオウンゴール」を認めようとせず、どんどん中国依存を強めていると分析>

ウクライナにおける軍事作戦はロシアのウラジーミル・プーチン大統領の「壮大な戦略的失敗」だった──ウィリアム・バーンズCIA長官は11日、ヒューストンのライス大学ベーカー公共政策研究所で行なった講演でそう断じた。ロシアは経済的な生き残りのために中国頼みを加速させることになると、バーンズはみる。


「ロシアは(戦場で)多大な人的・物質的損失を出しているだけではない。特殊部隊や指揮官が屈辱を味わい、ロシア軍の弱体ぶりが白日の下にさらされたばかりか、ロシア経済もまた制裁と貿易制限、1000社を超える西側企業の大脱出による長期的ダメージにあえいでいる」

「戦争初期におけるプーチンの狙いはNATOを分断し弱体化させることだった」と、バーンズは指摘。「だが、現実にはNATOの結束はかつてなく強まり、新たにフィンランドが加盟し、スウェーデンも後に続こうとしている」

支援疲れに期待する勘違い

「ロシアはエネルギー資源と原材料の輸出などで中国頼みを加速させていて、このまま行けば中国の経済的植民地になりかねない勢いだ。こうした状況をすべて勘案すると、ロシアのウクライナ侵攻はプーチンの壮大なるオウンゴールとしか言いようがない」

ジョー・バイデン米大統領はロシアがウクライナ侵攻に向けて着々と準備を整えつつある2021年11月、元駐ロシア大使のバーンズを2021年11月にモスクワに派遣し、侵攻計画を断念するようプーチンを説得させた。だがバーンズが持ち帰ったのは、プーチンは既に決意を固めているとの情報だった。

侵攻開始後1年と2カ月近く、これほど苦戦を強いられても、プーチンは自らの誤りを認めようとしないと、バーンズはライス大学で語った。

「プーチンはウクライナの抵抗をねじ伏せ、西側に支援疲れを引き起こせると信じている。持久戦になれば勝てると思い、西側にもそう思わせようとしている」と、講演の冒頭でバーンズは述べた。

「自分がウクライナに執着しているほど、西側はこの国を重視していないと踏んでいるのだ。私のみるところ、(短期に決着がつくという)侵攻前の読みと同じくらい、この読みも間違っている」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ネットフリックス、ワーナー資産買収で合意 720億

ビジネス

アップル、新たなサイバー脅威を警告 84カ国のユー

ワールド

イスラエル内閣、26年度予算案承認 国防費は紛争前

ワールド

EU、Xに1.4億ドル制裁金 デジタル法違反
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 5
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 6
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 7
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 8
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 9
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中