最新記事

米大統領選

「アンチがいるほど勝利への意欲を燃やすタイプ」...トランプにとって次期大統領選挙は戦いやすい環境

Can Trump Still Win?

2023年4月20日(木)19時35分
ダニエル・ブッシュ(本誌ホワイトハウス担当)

230425p30_TRP_02B.jpg

どこまでトランプに迫れるのか? 出馬宣言を既にしているニッキー・ヘイリー元国連大使 GREG HAUENSTEINーSOPA IMAGESーLIGHTROCKET/GETTY IMAGES

4月4日に罪状認否のためニューヨークの裁判所に出頭したトランプはいつになく険しい面持ちだった。ニューヨーク州法では重罪に当たる34件の「第1級事業記録改ざん罪」の全てについて、彼は「無罪」を主張した。

これらの罪状は元ポルノ女優のストーミー・ダニエルズに対する口止め料の支払いでトランプが果たした役割から派生したものだ。

トランプとの不倫関係を暴露しようとしていたダニエルズは16年の大統領選を前に13万ドルを受け取り、自身の秘密をメディアに売り込むのをやめた。

法廷でトランプは入廷時の表情のまま石像のように固まっていたが、マンハッタンの裁判所前では陰謀論者のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員ら熱狂的なトランプ支持者が裁判を大統領選の争点にしようとスローガンを叫んでいた。

こうした騒ぎが物語るのは、共和党の指名争いに出馬するなら、トランプ支持者の存在を無視できない、ということだ。訴追のニュースが伝えられた日の世論調査では、共和党予備選に投票する可能性がある有権者の52%がトランプを支持していた。

2位のデサンティスの支持率は21%で、2桁台の支持を獲得したのはこの2人だけ。この1カ月ほどトランプは支持率で平均19ポイント、デサンティスを上回っており、訴追後はこの差が広がっている。

今のところトランプの指名争いトップの座は安泰なようだ。しかし共和党内では大統領選の本選でのトランプの勝ち目は薄く、ほかの事件でも刑事訴追されれば、ほとんどゼロになるとみられている。

裁判に追われる羽目に

「予備選では(訴追が)トランプの追い風になるだろうが、本選では逆風になりかねない」と、共和党の戦略家マット・マコウィアクは言う。

ニューヨーク州マンハッタン地区検察のアルビン・ブラッグ検事が率いた捜査に加え、トランプは3件の刑事事件で捜査されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ISM非製造業総合指数、4月は49.4 1年4カ

ビジネス

米4月雇用17.5万人増、予想下回る 賃金伸び鈍化

ワールド

欧州委、中国EV3社に情報提供不十分と警告 反補助

ビジネス

米4月雇用17.5万人増、予想以上に鈍化 失業率3
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中