最新記事
米司法

元ポルノ女優への「口止め料」については完全に開き直るトランプ...「選挙法違反」にできるのか?

Not a Slam Dunk Case

2023年4月13日(木)15時00分
マーク・ジョセフ・スターン
トランプ

トランプは出廷後にフロリダ州の私邸に戻って演説し、無罪を主張。民主党や検察を激しく非難した(4月4日) MARCO BELLOーREUTERS

<「不倫口止め料」をめぐって厳しい立証が始まったが、34件の罪状では複雑かつ難解な戦いに...重罪、それとも軽犯罪か?>

刑事事件で起訴されたドナルド・トランプ前米大統領が4月4日、ニューヨークの裁判所に出頭して罪状認否に臨んだ。

このとき初めて公開された起訴内容は、34件の「第1級事業記録改ざん罪」で、ニューヨーク州法では重罪に相当する。トランプは無罪を主張した。

ニューヨーク州マンハッタン地区検察のアルビン・ブラッグ検事の起訴状によれば34件はいずれも、トランプが2016年の大統領選の直前に、不倫関係にあった元ポルノ女優のストーミー・ダニエルズに対して「口止め料」を支払った件に関係している。

「詐取の意図」による事業記録の改ざんだけなら、ニューヨーク州法では軽犯罪にしかならない。しかし「他の犯罪を行う意図、またはその遂行を幇助し、または隠蔽する意図」を伴うと「E級」の重罪と見なされ、禁錮1~4年に処せられる(E級は重罪のうちで最も軽い)。

つまりブラッグは、トランプが口止め料の支払いを違法に隠蔽しただけではなく、さらに第2の犯罪を行う意図があったことを証明しなくてはならない。その犯罪とは、起訴状が明らかにしているように選挙法違反だ。

ブラッグは、トランプが不倫を有権者に知られることで大統領選に影響が出ないよう、この計画を考案したと主張している。

ブラッグがどのように点と点を結んで重罪を立証するつもりかは、明らかにされていない。しかし彼は口止め料の支払いを、選挙で不利になり得る報道を阻止しようとしたトランプの広範な計画の一部だと主張するとみられる。

重罪の評決を勝ち取るためにブラッグは、マンハッタン地区の陪審員全員に対して、合理的な疑いを超えて前大統領の起訴内容を納得させなくてはならない。判事が法的な不備を理由に裁判を却下する事態も避ける必要がある。

今回の起訴内容は、大筋では予想されたとおり。焦点となっているのは、ダニエルズとの不倫関係が明るみに出ないよう、16年10月にトランプが下した決断だ。

日本企業
変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本のスタートアップ支援に乗り出した理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、最近の上昇失速 対円では上

ビジネス

米国株式市場=反落、ソフト企業などハイテクに売り 

ワールド

ゼレンスキー氏「米の反応を期待」、ロシアがエネ施設

ワールド

米軍、アラビア海でイラン無人機撃墜 空母リンカーン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 3
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 4
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 5
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 6
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 7
    最長45日も潜伏か...世界が警戒する「ニパウイルス」…
  • 8
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 9
    ICE射殺事件で見えたトランプ政権の「ほころび」――ア…
  • 10
    少子高齢化は国防の危機──社会保障を切り捨てるロシ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 7
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 8
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 9
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 10
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中