最新記事
中台関係

台湾で「くまのシーさん」ワッペンが大ヒット、きっかけは軍の戦闘機乗り

Taiwan Pilot Wears Patch Punching Winnie-the-Pooh During China Drills

2023年4月13日(木)19時15分
ジョン・フェン

台湾のクマが「シーさん」にパンチを喰らわすワッペン(4月10日、桃園市) Carlos Garcia Rawlins-REUTERS

<「シーさん」とは、以前からプーさんにそっくりと風刺されてきた習近平。それにパンチを喰らわす絵柄と台湾軍兵士の心意気が台湾人の愛国心に火を付けた>

くまのプーさんの顔にタイワンツキノワグマが猛烈なパンチをくらわす。そんなワッペンの販売元に注文が殺到している。

中国軍が台湾周辺で演習を行なった際に、台湾軍の戦闘機パイロットが軍服の肩にこのワッペンをつけていたことから人気に火がついた。プーさんは中国の習近平(シー・チンピン)国家主席を風刺するキャラクターなのだ。

【画像】台湾軍戦闘機パイロットの肩に注目!

中国軍の演習の2日目に当たる4月9日、台北の国防部軍事新聞通信社が空軍兵士の写真を公開。台湾の人たちや海外の台湾ウォッチャーが注目したのは兵士の肩に付いたワッペンだった。写真では、搭乗前に国産戦闘機「経国」の機体をチェックする兵士の肩にパンチを浴びたプーさんがいる(どこの基地で撮影されたかは不明)。

中国ネットでは使用禁止

中国の上海ディズニーランドにもプーさんの森の冒険ライドがあり、プーさんグッズは中国国内でも販売されている。ただしインターネット上ではプーさんの画像や名前の使用は禁止されていて、SNSに投稿すると当局に即座に削除される。一時期、お腹の出たプーさんを習主席になぞえらえた画像が面白半分にネットに出回り、その中に体制批判のメッセージもあったからだ

台湾を自国の領土とみなす中国は、5日にケビン・マッカーシー米下院議長(共和党)が訪米中の蔡英文(ツァイ・インウェン)台湾総統と歴史的会談を行ったことに怒り、台湾周辺に戦闘機と戦艦を多数派遣し演習を実施した。

ワッペンをデザインしたのは、台北の西に位置する桃園(タオユエン)でミリタリーグッズの店を営むアレック・スー。昨年8月に当時米下院議長を務めていたナンシー・ペロシ(民主党)が訪台したことに怒った中国が大規模な軍事演習を行ったときに作ったという。

タイワンツキノワグマは左手に台湾の旗を持ち、右手でプーさんを殴っている。ワッペンの下側には「緊急発進」を意味するScramble!の文字が踊り、赤いワッペンの上側には「年中無休」のWE ARE OPEN 24/7、青いワッペンには「自由のために戦え」を意味するFIGHT FOR FREEDOMと書かれている。

スーはもう1つ、台湾空軍のパイロットがパンダに平手打ちをくらわせるワッペンもデザインした。これは昨年のアカデミー賞の授賞式で、俳優のウィル・スミスがプレゼンターのクリス・ロックに平手打ちをくらわせた事件に着想を得たものだとか。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

カナダ中銀、3会合連続で金利据え置き 総裁「関税動

ワールド

トランプ氏、インド関税25%と表明 ロ製兵器購入に

ワールド

トランプ氏、関税発動期限の延長否定 8月1日は「揺

ワールド

トランプ氏、FRBに利下げ改めて要求 「第2四半期
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 3
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 4
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 5
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 8
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    13歳も72歳も「スマホで人生が終わる」...オンライン…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 9
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中