最新記事
ウクライナ

ウクライナの大規模反転攻勢はすぐにも始まる?

Ukraine's Counteroffensive Could Be Very Near

2023年4月18日(火)19時07分
エリー・クック

ロシア軍から奪還したハルキウのイジュームで国旗掲揚に立ち会うウクライナのゼレンスキー大統領(2022年9月14日)Ukrainian Presidential Press Service/REUTERS

<ウクライナ軍が東部で「ひそかに」部隊の増強を進めていると軍事専門家が指摘>

ウクライナ軍が東部ドンバス地方の奪還に向けて、北東部ハルキウ州に「ひそかに」部隊を集結させている──ロシアのメディアがこのように報道し、ウクライナによる反転攻勢が遂に初期段階に突入している可能性を示唆した。

ロシア国営タス通信によれば、ウクライナ東部ルハンスク(ルガンスク)の親ロシア派勢力の軍事専門家ビタリー・キセリョフ大佐は、ウクライナ軍がハルキウ州クプヤンシク市周辺の部隊を増強していると指摘した。

【地図】ロシアの支配地域──反攻はどこで始まる?

ドンバス地方として知られるルハンスク(ルガンスク)とドネツクの親ロ派分離主義勢力は、2014年に一方的にウクライナからの独立を宣言。2022年にロシアとウクライナの間で全面戦争が始まって以降、これら2つの地域では激しい戦闘が展開されてきた。

米シンクタンクの戦争研究所は4月14日、ロシアの情報筋から得た情報として、ウクライナ軍がルハンスクの「後方を標的に」し続けていると指摘。ロシアのある「軍事ブロガー」は、ウクライナの兵士たちが「この地域での反転攻勢に備えて、敵後方にあるロシアの軍事標的を攻撃して」いると示唆したことを明かした。

作戦を知るのは「5人以下」

ウクライナ軍参謀本部は17日、ロシア軍がルハンスクとその周辺にある数多くの集落を砲撃したと報告したが、ウクライナ側の攻撃については言及しなかった。本誌はウクライナ国防省にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。

西側のアナリストやウクライナの当局者らは以前から、ウクライナが春に反転攻勢を計画していると示唆してきたが、ウクライナの指導部はその詳細を一切明かしていない。ウクライナのハンナ・マリャル国防次官はメディアに対して、ウクライナの反転攻勢については報じないよう繰り返し呼びかけてきた。ウクライナ国家安全保障防衛会議のオレクシー・ダニーロフ長官は4月上旬に、今後の反転攻勢に関する具体的な情報を持っている人物は5人以下だと述べていた。

ウクライナのデニス・シュミハリ首相は、4月に入ってから米FOXニュースに対して、ウクライナは今後予定されている反転攻勢で、ロシア側に占領された地域を奪還するだろうと述べた。「アメリカをはじめとするパートナーと協力して、反転攻勢の準備に集中的に取りかかっているところだ」。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米上院、ミラン氏をFRB理事に承認 CEA委員長職

ワールド

豪経済見通し、現時点でバランス取れている=中銀総裁

ワールド

原油先物横ばい、前日の上昇維持 ロシア製油所攻撃受

ワールド

クックFRB理事の解任認めず、米控訴裁が地裁判断支
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中