最新記事
ウクライナ情勢

ロシアとの戦いで「ウクライナ軍は世界一の軍隊になった」──豪軍事専門家

Ukraine's Army Is Now the Best in the World, Retired General Says

2023年3月29日(水)16時40分
マシュー・インペリ

ロシアのウクライナ侵攻1年の式典のために整列したウクライナ兵(2月23日、英ソールズベリー近郊の訓練所)Toby Melville-REUTERS

<ロシアのウクライナ侵攻から13カ月、過酷な戦闘経験を積み重ねてきたウクライナ軍は、現時点で世界で最も優秀な軍隊だと、オーストラリアの退役少将がお墨付き>

ロシアとの戦争で、ウクライナ軍は現在世界で最も優秀な軍隊になった、とオーストラリア軍退役少将で軍事評論家としても知られるミック・ライアンは語った。

ライアンは2月23日にウクライナの英字紙キーウ・ポストのインタビューに応じ、ロシアとの戦いにおけるウクライナ軍のさまざまな特徴や、ミサイル防衛、ドローン防衛、前線戦闘部隊など、多方面にわたる能力がいかに発揮されたかを語った。

「私の見解では、ウクライナ軍は現時点で世界最高だ」と、ライアンは断言した。「これは臆測ではなく、事実だ。彼らは世界で最高の軍隊だ。近代戦において最も豊富な経験を積んだ軍隊であり、この13カ月間、それを実証してきた」

「今、ウクライナは多くの血を流し、性別、年齢を問わず多くの人材を失った。そして多くの教訓を学んだ。ウクライナ軍は世界で最も優れている。私たちが彼らから学べることはたくさんある」

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2022年2月24日に「特別軍事作戦」としてウクライナで開始した戦争は今も続いている。

ライアンはキーウ・ポストに、ウクライナ軍に関わるいくつかの「要素」を指摘した。

「ウクライナの領土防衛軍には、古参兵と新たに動員された兵士で構成される精鋭部隊がある」と、彼は言う。「多くの独立した部隊があるようだ」

「さらに外国の部隊もいる。そのすべてをまとめることは、急速に拡大した軍にとってかなりの難題だ。そして、どんなに優秀な司令官にとっても困難な任務であり、戦時中にそれを行うとなると、さらに難しい」

訓練は十分ではないが

異論もある。米戦略国際問題研究所(CSIS)で国際保障プログラムの上級顧問を務めるマーク・キャンシアンは23日、本誌にこう語った。

「戦争における人的要素、特に訓練とリーダーシップを強調するライアンの意見は全く正しい。そして、ウクライナがロシア以外のどの国よりも最新の戦闘を経験していることは間違いない。ライアンが何度か指摘しているように、ウクライナ軍はロシア軍よりも優れている。とはいえ、それゆえにウクライナ軍が世界最高の軍隊とはいえない」

キャンシアンは「戦闘に入る前に2~3週間の訓練を受ける」だけのウクライナ軍と、米軍が行っている訓練の違いを指摘した。

「米海兵隊の新兵は全員、22週間の訓練を受ける」と、キャンシアンは言う。「ウクライナ軍は2個大隊をヨーロッパでの戦闘訓練に送り出している。一方、米軍は例年、約60個の大隊をナショナルトレーニングセンター(NTC)や米陸軍統合即応トレーニング・センター(JRTC)などの戦闘訓練所に送っている。ウクライナ軍の指揮官の多くは、戦場では高い技能を発揮しているが、複雑な共同作戦を実行するのに必要な幅広い訓練は足りないようだ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、民主党寄り政府機関への支出削減へ ボー

ワールド

中国高官、米香港総領事に内政不干渉を要求 米国は反

ビジネス

8月完全失業率は2.6%に上昇、有効求人倍率1.2

ワールド

ボーイング「777X」、納入開始は2027年にずれ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 6
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 7
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 10
    AI就職氷河期が米Z世代を直撃している
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中