最新記事
AIツール

オスカー受賞作『ナワリヌイ』への批判記事はAI生成ですぐバレた

Navalny Film 'Debunk' Partly Written Using AI, Investigators Claim

2023年3月16日(木)18時02分
イザベル・ファン・ブリューゲン

ロシアの情報機関員だったセルゲイ・スクリパリと娘のユリアは、2018年にイギリスのソールズベリー市で神経ガス攻撃の標的となり、入院した。

だが記事で紹介されているURLは「実際には存在しない」と、ヒギンズは指摘する。「別のURLに引用された記事があるかもしれないと、URLのバリエーションを検索してみたり、できる限りのことをしてみた。だが掲載されていたURLはいずれも実在していなかった」

この記事はナワリヌイの健康状態を問題視しているが、それを裏付ける情報源も存在しなかったとヒギンズは説明した。「AIはさまざまなソースからの情報をつなぎ合わせたようだが、その多くは非常に疑わしいものだった」

「つまり、コミサールはリサーチを行うにあたって、AIライティングツールに頼ったようだ。そしてAIは自ら生成した、どこにも存在しないURLに基づいて文章を生成した」

ベリングキャットのアリック・トーラーも14日、グレイゾーンが「公開した記事は一部、AIツールによって書かれたもので、参照用に掲載されたURLはAIツールが生成した存在しないリンク、記事だった」と声をあげた。

「たとえば2014年のナワリヌイ毒殺未遂事件に関するガーディアン紙の『記事』を紹介しよう。グレイゾーンの編集者は、この記事はAIが妄想したソースを引用していることに気づかなかったようだ」とトーラーはツイートした。

その後、グレイゾーンは次のような但し書きのもとで記事を修正した。

「編集部注:グレイゾーンはこの記事を修正した。ルーシー・コミサールによる元記事の中で適切な出典が提供されていない2つの論点を削除し、1つを西側が支援するロシアの独立系ニュースサイト「メドゥーサ」の記事に基づく主張に差し替えた」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

訂正-アングル:米利下げ再開で外国勢の米資産ヘッジ

ビジネス

ECBは景気停滞対応へ利下げ再開を、イタリア予算案

ワールド

ガザ支援船、イスラエル軍が残る1隻も拿捕

ビジネス

世界食糧価格指数、9月は下落 砂糖や乳製品が下落
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 4
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 7
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 5
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 9
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 10
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中