最新記事

地震予知

トルコ大地震を予知した?鳥の異様な行動が観察される

Does Turkey earthquake video show birds acting strange before?

2023年2月9日(木)17時23分
ジェス・トムソン

(写真はイメージです) Ralf Liebhold-iStock.

<鳥の群れの行動は、動物に地震予知能力があることを示す新たな証拠とも言われるが、動物たちはいったいどうやって地震を察知するのか>

昔から、動物には地震を予知する能力があると言われてきた。

1月6日未明にトルコとシリアの国境付近で起きたマグニチュード7.8の地震の直前に撮られたある動画がその証拠として、ネット上で急速に拡散している。地震発生の直前に撮影されたものとされる動画には、鳥の群れが普段とは明らかに異なる行動を取っている様子が映っている。

【動画】トルコ大地震の前の不気味な鳥の群れ、地震予知した?猫カフェの猫たち......

この動画はs/Solonik70というユーザーがSNSのレディットに投稿したもの。「トルコで起きた地震の直前に鳥がおかしな行動を取っていた」というコメントを添えた動画には、1万8400件の高評価がついている。

そこには、鳥の群れがぐるぐると円を描くように飛びまわり、一斉に近くの木々にとまる様子が映っている。辺り一帯の木の上部は、降り立った鳥の群れで黒い塊と化す。

あるユーザーは、「鳥は人間には察知できない小さな前兆を察知できるんだ。嵐が近づいている時にも、動物たちは急いで出来る限りの餌を食べる。それと同じだ」とコメントした。

古代のネズミから現代の犬まで

動物は地震を事前に察知できるということは、何千年も前から言われてきた。米地質調査所の報告書によれば、最も古い記録では、紀元前373年にギリシャで起きた大地震の数日前に、ネズミやイタチ、ヘビやムカデが安全な場所に避難したことを記した文献があるという。

この指摘は、さほど的外れなものではないかもしれない。2020年に学術誌「エソロジー(動物行動学)」に発表された研究報告によれば、イタリアのある農場で飼われていた牛、犬と羊に電子タグをつけて行動を観察したところ、近くで起きた8回の大規模な地震のうち7回で、その直前に動物たちが「超活発」になったことが分かった。「超活発」とは、45分以上にわたって動き続ける状態のことを指す。

独マックス・プランク動物行動研究所のディレクターで、この研究報告の著者であるマーティン・ウィケルスキーは、米ワシントン・ポスト紙に対して「(研究では)動物が地震の前兆を感知できること、その前兆とは地震活動ではないことが示された」と述べ、さらにこう続けた。


「牛は当初、その場で固まって全く動かなかった。その後、犬が不安な様子を見せて、狂ったように吠え始めた。その後羊が異常行動を取り始めると、牛も常軌を逸した状態に陥った」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、予想下回るGDPが圧迫

ビジネス

再送-〔ロイターネクスト〕米第1四半期GDPは上方

ワールド

中国の対ロ支援、西側諸国との関係閉ざす=NATO事

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円以外で下落 第1四半期は低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中