最新記事

クローン

中国がスーパーカウのクローン作成に成功

China Successfully Clones 'Super Cows' for First Time Ever

2023年2月1日(水)15時11分
アンナ・スキナー

スーパーカウの群れができる?(写真はイメージです) ThinkDeep-iStock.

<食料自給率100%を目指す中国は、乳牛をアメリカからの輸入に頼ることよしとせず、クローン技術を使って乳量が普通の倍になるスーパーカウ1000頭の群れを作る気だ>

中国の科学者たちが、クローン技術を使用した「クローン牛」の作成に成功した。輸入乳牛への依存を断ち切るための取り組みだ。

今回、寧夏(ねいか)回族自治区で作成されたのは、ホルスタイン種の乳牛のクローン3頭だ。中国では、中間所得層の増加に伴い、牛乳への需要が高まっている。しかし、人民日報傘下の英字紙『環球時報』の報道によれば、中国は乳牛の70%を輸入に頼っている。自給率を上げ、他国への依存を減らすためのクローン実験だ。

それも、ただの乳牛ではない。3頭のクローン牛は、「スーパーカウ(高泌乳牛)」と呼ばれる1頭のホルスタイン種の牛の組織を使って作成された。ホルスタインは、品種改良によって生み出された乳量の多い牛だが、そのなかでもスーパーカウは、年間乳量が最大1万6000キロに達する(注:日本では年間乳量8000〜9000キロ以上が高泌乳牛の目安で、中には年間乳量2万キロを超える個体もいる)。

パンデミック発生直後から、中国では乳製品の輸入が増えた。米オンライン農業専門紙アグリパルスは、2021年には中国のアメリカからの乳製品輸入は75%も増えたと報じている。

そこで中国西北農林科学技術大学の科学者たちは、スーパーカウ1頭の耳から試料を採取し、クローンを作成した。環球時報によれば、現在の中国では乳量の多い牛は1万頭に5頭とごくわずかだが、クローンの作成が進めば、乳製品の生産量を大幅に増やすことができる。中国は、こうしたスーパーカウを増やすため、遺伝子の保存に取り組んでいる。

西北農林科学技術大学のプレスリリースによれば、クローン技術で誕生した3頭の子牛は、体型や皮膚の模様がそっくりだという。

プロジェクトリーダーのジン・ヤピンは環球時報の取材に対し、生殖技術とクローン技術を併用し、代理母となる雌牛にクローン胚を着床させたと説明している。

トウモロコシや大豆、鶏や豚も

初回にあたるこの実験では、120個のクローン胚をつくり、約50個を代理母に着床させた。

スーパーカウのクローン作成に成功したので、今後数年で1000頭規模のスーパーカウの群れをつくる予定だとジンは述べる。「中国が、国外の乳牛への依存を断ち切るための強固な基盤になる」、とジンは言う。

中国は、食料が自給できる国家になるため様々な努力を重ねてきた。重要な作物を種子を集めるのもその一つだ。クローン作成に取り組んだのも、乳牛が初めてではない。ガーディアンは2015年、中国で世界最大の動物クローン工場の建設が始まると報じている。この中国企業は、首都北京の近郊に工場を建設し、肉牛のクローンを年間最大100万頭作成するとともに、競走馬やペットのクローンも作成する計画を立てていた。

環球時報の記事によれば、トウモロコシや大豆のほか、ブロイラー用の鶏、繁殖豚などについても、同様の画期的な研究が行われているという。
(翻訳:ガリレオ)

ニューズウィーク日本版 教養としてのミュージカル入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月17号(3月10日発売)は「教養としてのミュージカル入門」特集。社会と時代を鮮烈に描き出すポリティカルな作品の魅力[PLUS]山崎育三郎ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン新指導者モジタバ師、おそらく生存も「ダメージ

ワールド

ベネズエラとコロンビア、首脳会談をキャンセル 理由

ワールド

原油備蓄の協調放出、割り当てやタイミングを調整中=

ビジネス

焦点:くすぶる円安圧力、「投機」判断難しく 原油高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車整備は収入増、公認会計士・税理士は収入減
  • 3
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃に支持が広がるのか
  • 4
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 5
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 6
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 9
    2万歩でも疲れない? ディズニー・ユニバで足が痛く…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中