最新記事

動物

米NYで話題の「ピンク色のハト」...パーティーを盛り上げる「小道具」にされた末に死亡

2023年2月11日(土)13時30分
ポーラ・ルビオ
空を飛ぶハト(イメージ画像)

イメージ画像 Wirestock-iStock

<赤ちゃんの「性別発表パーティー」に使うため全身をピンクに着色されたとみられるハトが保護され、人々の注目と同情を集めていた>

米ニューヨーク市で、全身がピンク色のハトが発見されて話題になっていたが、このハトが2月7日に息絶えたことが分かった。当然、この色は人為的に着色されたものであり、どこかの家族が生まれてくる赤ん坊の性別発表パーティーに使った可能性が高いと見られている。その際にハトが、染料の毒素を大量に吸い込んだことが死因とされている。

■【写真】ニューヨークで見つかった全身ピンク色のハト/さまざまな性別発表パーティー

このハトを保護し、フラミンゴと名付けた野鳥保護団体「ワイルド・バード・ファンド」は7日、「とても悲しい報告だが、私たちのかわいいピンク色のハト、フラミンゴが息絶えた」と発表した。

ガーディアン紙によれば、生後1年未満とされるフラミンゴは、命を落とす前の週、マンハッタンのマディソン・スクエア・パークをさまよっているところを発見された。その後、ワイルド・バード・ファンドに保護された。

「染料から放出される有害なガスを減らそうと最善を尽くし、彼を落ち着かせ、状態を安定させようとしたが、彼は夜に死んでしまった。毒素を吸い込んだことが死因だと私たちは考えている」と同団体は説明している。また同団体によれば、このハトは長期にわたって栄養不良に陥っていたとみられ、適切な世話を受けていなかった可能性が高いという。

「フラミンゴの物語は、さまざまな感情を呼び起こし、世界中から関心が寄せられた」とワイルド・バード・ファンドは述べている。「彼のあまりに短い生涯の物語が、軽率な動物虐待を防ぐ一助になることを願っている」

ワイルド・バード・ファンドは、フラミンゴには生き抜く能力がなく、たとえ染料の影響がなくても、命を落とす運命にあったと考えている。「このキングピジョン(キング種の食用ハト)は、ヒナから幼鳥になったくらいの大きさだが、おそらくは食用に飼育されていた個体で、栄養不良で、生き抜く能力がなかった。たとえ有毒な染料という問題がなくても、彼は白い無力な鳥として、都市公園で生き延びることはできなかっただろう」

ハトの放鳥はペットを道に捨てるのと変わらない

フラミンゴのような不幸を繰り返さないためにも、飼育下に置かれていた鳥は決して放鳥してはいけない、とワイルド・バード・ファンドは呼び掛けている。飢えや捕食によって死んでしまうためだ。

「ハトの放鳥はロマンティックに思えるかもしれないが、その華やかさやインスタグラムの『映え』といった要素を取り除けば、無力なペットを道端に捨てているのと変わらない。お祝いには全くふさわしいとは言えない」

ハトの保護団体パロマシーのウェブサイトによれば、フラミンゴのようなキング種のハトは、野生での生存率が極めて低く、保護しても長くは生きられないという。キング種を含むハトは、式典のためによく使われる鳥だ。
(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、29日に議会指導部と会談へ 予算

ワールド

トランプ米大統領、ポートランドへの派兵指示 「移民

ワールド

国連、対イラン制裁を再発動 イランは厳しい対応を警

ワールド

ロシア外相が西側に警告 「いかなる攻撃にも断固とし
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
2025年9月30日号(9/24発売)

トヨタ、楽天、総合商社、虎屋......名門経営大学院が日本企業を重視する理由

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 2
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国はどこ?
  • 3
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒りの動画」投稿も...「わがまま」と批判の声
  • 4
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 5
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 6
    「戻れピカチュウ!」トルコでの反体制デモで警官隊…
  • 7
    国立西洋美術館「オルセー美術館所蔵 印象派―室内を…
  • 8
    「逃げて」「吐き気が...」 キッチンで「不気味すぎ…
  • 9
    「不気味すぎる...」メキシコの海で「最恐の捕食者」…
  • 10
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...…
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...「文学界の異変」が起きた本当の理由
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 7
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 8
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 9
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中