最新記事

フィギュアスケート

日本のフィギュア界は全カテゴリーで「かつてない黄金期」を迎えている(茜灯里)

2022年12月24日(土)12時15分
茜 灯里(作家・科学ジャーナリスト)
宇野昌磨選手と坂本花織選手

スケートカナダ2022男子フリーでの宇野と、スケートアメリカ2022女子ショートプログラムの坂本 FROM LEFT:John E. Sokolowski-USA TODAY Sports via REUTERS, Eric Canha-USA TODAY Sports via REUTERS

<羽生結弦の引退で観客が減ったと言われるフィギュアスケートだが、今年のグランプリファイナルでは4カテゴリー中3カテゴリーで日本人選手が優勝。まさに「黄金期」だ。そんな日本人選手たちにとって重要な意味を持つ全日本選手権のショートプログラム、リズムダンスの結果から、フリーでの注目選手を紹介する>

年の瀬の恒例である「全日本フィギュアスケート選手権大会(第91回)」が、今年も22日から東和薬品RACTABドーム(大阪)で開催されています。

全日本選手権では、男子シングル、女子シングル、ペア、アイスダンスの4カテゴリーの選手が、それぞれ2つの演技で競います。初日と2日目は予選にあたり、22日にはアイスダンスのリズムダンスと女子シングルのショートプログラムが、23日にはペアと男子のショートプログラムが実施されました。24日にはアイスダンスのフリーダンスと女子のフリースケーティング、25日にペアと男子のフリースケーティングが行われて勝敗が決します。

日本のフィギュアスケート選手にとって、なぜ全日本選手権は最も重要な試合なのでしょうか。また、ショートプログラム、リズムダンスの結果から、フリーの注目選手を紹介します。

全日本選手権の重要性

フィギュアスケートでは、オリンピックがないシーズンは世界選手権が最も重要な大会です。選手にとって、出場すれば世界のトップと戦える、良い成績が名誉になるというだけではありません。日本にとっても、翌年の世界選手権や(五輪前年は)五輪に派遣できる選手の数(枠)がこの大会で決まるため、日本フィギュアスケート界の隆盛に直結します。

世界選手権はシーズン最終盤の3月に開催されますが、とりわけ男女のシングルでは、全日本選手権での成績が派遣選手の選考で最も重視されており、選手の発表も全日本選手権の全日程が終わった直後に行われています。今シーズンの世界選手権は日本(さいたま市)で行われることもあって、世界選手権の出場候補選手は例年よりも注目を集めています。

さらに、全日本選手権の成績は、次のシーズンの強化選手指定にも直結します。

日本代表選手として国際大会に出場するためには強化選手に指定される必要があるため、強化指定はオリンピックや世界選手権を目指す選手にとって、最初の目標となります。また、強化選手に指定されると特別強化、強化A、Bのランクに応じて強化費が支払われ、スポンサーも付きやすくなるため、競技活動の資金繰りにも大きく影響します。

全カテゴリーでかつてない黄金期

hanyu_book.jpg近年の日本フィギュアスケート界は、スケートファンに留まらない社会的なフィーバーを引き起こすスターを二人輩出しました。浅田真央さんと羽生結弦さんです。両者は現在もプロスケーターとしてアイスショーで活躍していますが、試合を観戦しに来る観客は二人の現役時代と比べると少なくなったとも言われています。

けれど、現在の世界王者は男女とも日本人選手(宇野昌磨選手と坂本花織選手)です。全日本選手権の2週間前に行われた、シーズン前半戦で最も重要な国際試合であるグランプリファイナル(GPF、12月8~11日、イタリア)では、4カテゴリー中、アイスダンスを除く3カテゴリーで日本人選手(男子:宇野選手、女子:三原舞依選手、ペア:三浦璃来・木原龍一組)が金メダルを獲得しました。GPFへの出場には至りませんでしたが、今年はアイスダンスの活躍も目覚ましく、「かなだい」の愛称で知られる村元哉中・髙橋大輔組はデニス・テン・メモリアル・チャレンジ(10月26~29日、カザフスタン)で、日本人カップルとしての初めてISU(国際スケート連盟)公認試合で優勝しています。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英雇用7カ月連続減、賃金伸び鈍化 失業率4.7%

ワールド

国連調査委、ガザのジェノサイド認定 イスラエル指導

ビジネス

25年全国基準地価は+1.5%、4年連続上昇 大都

ビジネス

豪年金基金、為替ヘッジ拡大を 海外投資増で=中銀副
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中