最新記事

ミステリー

バミューダ・トライアングルの「怪事件」は今も続いていた...最新科学で遭難の謎に迫る

Bermuda Triangle Mysteries

2022年12月21日(水)18時42分
ロビン・ホワイト(本誌自然・環境担当)
バミューダのハリケーン

ハリケーン被害を受けたバミューダの島(2003年9月) Jean-Pierre Rouja-Reuters

<伝説化したバミューダ・トライアングルの怪事件を、改めて追いかけたヒストリー・チャンネルの番組が発見したもの>

バミューダ・トライアングルの伝説は数十年前から流布している。とはいえ近年、この海域をめぐる迷信は消滅状態だ。つまり、謎は解明されたのか。それとも、奇異な現象は今も起きているのか。

■【動画】テレビ番組の撮影中に「魔の三角地帯」の海底で発見された意外すぎる「残骸」とは?

「魔の三角地帯」とも呼ばれる同海域は北大西洋の西部に位置する。一帯で発生した複数の奇妙な事件を、あるアメリカ人著述家が紹介したのは1964年のこと。ただし、謎めいた出来事の話は19世紀半ばから出ていた。

「バミューダ・トライアングル伝説が本格的に始まったのは、ビンセント・ガディスが64年に執筆した記事で、この海域での怪事件のパターンを概説したのがきっかけだ。なかでも大きく取り上げられたのが、フライト19遭難事件だった」。歴史家のデービッド・オキーフは、本誌にそう語る。

米歴史番組専門局ヒストリーチャンネルは11月22日、バミューダ・トライアングルに関する新たなドキュメンタリーシリーズ(全6回)の放送を開始。番組のため、同海域で遭難した第2次大戦時代の航空機を捜索した専門家チームに、オキーフは参加した。

米海軍の雷撃機5機の編隊「フライト19」は45年12月、バミューダ・トライアングル上空を訓練飛行中に姿を消した。残骸は見つからず、消息を絶った理由は今も不明だ。

「(言語学者で超常現象研究家の)チャールズ・バーリッツらがバミューダ海域での船舶や航空機の遭難事件を、不思議な現象に遭遇した人々の報告と併せてセンセーショナルに紹介し、既に触れられていたパンドラの箱が開いた」と、オキーフは言う。

「沈没や航空機遭難は続いている」

各種の仮説や推測が持ち上がったものの、やがて下火になった。しかし、不可解な事件はなくなっていない。「データが示す限り、沈没や航空機遭難は続いている」と、オキーフは話す。

「海域についての理解が深まった今、かつて付き物だったセンセーショナリズムは、少なくとも現時点では沈静化したようだ。いずれにしても、バミューダ・トライアングルは世界有数の謎であり、世代を問わず大勢の人の想像力を刺激し続けている」

バミューダ諸島、プエルトリコ、フロリダ半島先端部を結ぶ三角形の海域であるバミューダ・トライアングルには、ある仮説によれば、複数の方角から暴風雨が吹き込む。それによって引き起こされる可能性のある荒波は、一説では最高30メートル超に達するという。

この三角地帯ではこれまでに、船舶50隻以上と航空機20機以上が遭難したとされる。

221227_230103p62_BDT_02.jpg

フロリダ沖の三角形の海域では、船舶や航空機の遭難が相次いできた AP/AFLO

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、中国に関税交渉を打診 国営メディア報道

ワールド

英4月製造業PMI改定値は45.4、米関税懸念で輸

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる

ワールド

韓国最高裁、李在明氏の無罪判決破棄 大統領選出馬資
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中