最新記事

カタールW杯

「返せるはずがない...」W杯の闇──死んだ出稼ぎ労働者の妻たちが、祖国で借金まみれに

Widowed and Helpless

2022年12月20日(火)13時20分
マヘル・サッタル(報道NPO「フラー・プロジェクト」シニアエディター)、バードラ・シャルマ(ネパールのジャーナリスト)

妻が背負う多額の負債

マデシ州に住む寡婦でインド出身のルビ・カトゥンは、ネパール人男性と13年前から結婚していたにもかかわらず、いまだにネパール国籍を取得していない。彼女の夫はいつも国外で働いていて、法的な手続きをする時間もなかった。2年前、夫(当時30歳)はカタールで腎臓病を発症し、帰国後に死亡している。

「夫の死後、私は首都カトマンズに行き、政府の外国人雇用委員会に補償を求めた」とカトゥンは言う。「でも私には国籍がないから、補償は一銭も出ないと言われた」

何の収穫もなかったが、カトマンズへの旅には5万ルピー(約384ドル)もかかった。2人の子供を育てながらホテルの清掃員として働くカトゥンにとって、月収の6倍以上に当たる金額だ。

#PayUpFIFAキャンペーンの掲げる4億4000万ドルはシンボリックな金額だが、その一部でも出れば、借金まみれの寡婦の生活をかなりの程度まで助けることができるはずだ。

シルミタの場合、夫はもともと、カタールでの仕事を斡旋する仲介人に払うために約1400ドルを借りていた。だが最初の仕事はうまくいかず、次の仕事を探すために借金を重ねた。

しかも利息は年利36%。気が付けば借金は5000ドル以上に膨らんでいた。他人の農場で日雇いで働き、1日3~4ドル程度の収入しかないシルミタに、そんな借金を返せるわけがない。

「夫は地元の貸金業者から借りていた」と彼女は言う。「利息はどんどん増えていく。貸金業者は何度も家にやって来て、金を返せという。でも、食べ物を手に入れることさえままならないのに、どうやったら返せる? なのに誰も助けてくれない」

From Foreign Policy Magazine

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ウクライナ和平交渉団が米国入り、トランプ政権高官と

ワールド

イラン指導者ハメネイ師、トランプ氏がデモ扇動と非難

ワールド

欧州8カ国に10%追加関税、トランプ氏表明 グリー

ワールド

アングル:冬季五輪控えたイタリア北部の景観地に観光
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向」語る中、途方に暮れる個人旅行者たち
  • 2
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 3
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手がベネズエラ投資に慎重な理由
  • 4
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 5
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 6
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 9
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」…
  • 10
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 9
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 10
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中