最新記事

宇宙

環もくっきり! 海王星をジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測

2022年10月6日(木)16時15分
松岡由希子

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した海王星(NASA, ESA, CSA, STScI; Joseph DePasquale (STScI))

<9月21日、NASA は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の近赤外線カメラ「NIRCam」で撮影した海王星の画像を公開した......>

太陽系の既知の惑星で最も外側を公転する海王星は、太陽から約45億キロ離れ、昼間でも夕暮れのように薄暗い。複雑な環やダイヤモンドの雨、奇妙な衛星「トリトン」などでも知られ、1846年に発見されて以降、多くの天文学者を惹きつけてきた。

1989年夏にはNASA(アメリカ航空宇宙局)の無人宇宙探査機「ボイジャー2号」が北極上空約4950キロの地点を通過し、海王星を初めて観測している。

>>■■【画像比較】ジェイムズ・ウェッブとボイジャー2号で観測された海王星■■

近赤外線カメラで撮影、明るく光る環、惑星間塵も確認

海王星の初観測から30年以上が経過した2022年9月21日、NASA (アメリカ航空宇宙局)は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の近赤外線カメラ「NIRCam」で撮影した海王星の画像を公開した。海王星の環の様子が鮮明に映し出され、明るく光る細い環に加えて、惑星間塵も確認できる。

K1GKCQ9QM08NZEKV8Y.jpg

左上にあるのは海王星の衛星トリトン (NASA、ESA、CSA、STScI; Joseph DePasquale (STScI))


海王星が赤外線で観測されたのは今回が初めてだ。海王星は可視画像では大気中のメタンによって青く見えるが、波長帯0.6~5ミクロンの近赤外線で撮影する「NIRCam」では、メタンが赤色光や赤外線を吸収するため、青く見えない。白っぽく映り、上層雲がある領域を除いてかなり暗くなる。

メタンの氷の結晶でできた上層雲は、メタンガスに吸収される前に太陽光を反射し、明るい線や点となって目立つ。観測画像では、海王星の赤道を囲む細く明るい線がみられた。これは、風や嵐を引き起こす大気循環の視覚的特徴かもしれない。大気が下降して温められることで、周りの冷たい大気よりも赤外線でより強く光るというわけだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米「夏のブラックフライデー」、オンライン売上高が3

ワールド

オーストラリア、いかなる紛争にも事前に軍派遣の約束

ワールド

イラン外相、IAEAとの協力に前向き 査察には慎重

ワールド

金総書記がロシア外相と会談、ウクライナ紛争巡り全面
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 3
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打って出たときの顛末
  • 4
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 5
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    主人公の女性サムライをKōki,が熱演!ハリウッド映画…
  • 8
    【クイズ】未踏峰(誰も登ったことがない山)の中で…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 7
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中