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日本の「余裕」から生まれる放任のありがたさ(小原ブラス)

SOCIAL LEEWAY

2022年8月8日(月)16時00分
小原ブラス(タレント、コラムニスト)

「サブスク」型が生きやすい

一方で地方が「都会化」する必要もないと思う。地方から都会に出て自分を表現できるようになってアイデンティティーを確立する。その後、別の地方に移動する、というスタイルがもっと進めばいい。

日本は住宅と引っ越し業者が多くて賃貸の仕組みが発達しているからそれができる。生活のあらゆる面で音楽サービスみたいに嫌になったら解約できる「サブスク」型の社会になれば生きやすいし、自殺も減るんちゃうかな。

日本で住宅と言えば、自分も含め外国人で住宅を借りづらい人は多い。もちろん、部屋を貸す側も財産を守る権利があり、必ずしも悪いことではない。しかし「外国人」という一面だけの属性で人を判断している場合も多いと感じる。

今後、外国からの移住者が単純に増えるだけでは、こうした問題は解決しないと思う。

長い目で見た支援が必要だと考えていて、そのため僕は外国人の子供の就学を助ける法人の理事長をやっている。将来、移民との衝突などが増えて住みにくい国にならないように、外国人、ひいてはマイノリティーが幸せになることは巡り巡って多くの人が幸せになることやで、ということは伝えていきたい。

社会はここが最高、というラインはなくて、常にもっと良くしていくようなものだと思う。

そのためには少数者をひがむんじゃなくて、相いれない価値観については放っておく。それぞれの立場から、自分にとって足りないと思うところは権利を主張していく。

そんなふうに、経済的な余裕の延長線上で、考え方に余裕がある国を目指せばええんちゃうかな。

――構成・澤田知洋(本誌記者)

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