最新記事

トラベル

「世界最強」パスポート最新版の結果発表 アジア勢がトップ3も恩恵は少なめ

Top 3 World's Most Powerful Passports Of 2022 Come From Asia

2022年7月22日(金)17時36分
デーン・エネリオ
パスポートと地図

belterz-iStock

<世界で最も信頼度が高いパスポートに輝いたのは今回も日本のパスポートだった。だが、実際にはその「強さ」は欧米諸国ほど活用されていない>

移民コンサルタントのヘンリー・アンド・パートナーがまとめた「ヘンリー・パスポート指数」の最新版が発表され、「世界最強」パスポートのトップスリーはいずれもアジア3カ国という結果となった。

これは所持者がビザを事前に取得することなくアクセスできる渡航先の数で、世界のパスポートをランクづけしたもの。渡航情報に関する世界最大かつ最も正確なデータベースとされる、国際航空運送協会(IATA)のデータを基に作成されている。

2022年第三四半期の世界1位は日本で、日本のパスポートを保持している人は、事前のビザ取得なしに193カ国に問題なく入国できる。続いてシンガポールと韓国のパスポートが192カ国で、同点の2位につけた。そのほかのアジア諸国は、トップ10には入らなかった。

3位は190カ国にアクセスできるドイツとスペインのパスポート。フィンランド、イタリアとルクセンブルクのパスポートが189カ国で同点4位だった。

5位はオーストリア、デンマーク、オランダとスウェーデン。いずれの国のパスポートも、188カ国にアクセスが可能だ。

フランス、アイルランド、ポルトガルとイギリスのパスポートが6位。ベルギー、ニュージーランド、ノルウェー、スイスとアメリカが7位だった。

その後に続くのは、オーストラリア、カナダ、チェコ共和国とギリシャが8位、ハンガリーが単独9位、リトアニア、ポーランドとスロバキアが10位だった。

ランキング最下位はアフガニスタンで、この国のパスポート保持者がビザ取得なしでアクセスできる国は、わずか27カ国だ。

アジア諸国は欧米よりパスポートの強さを活用せず

CNNは、アジア諸国は新型コロナウイルス感染症に対して、ほかの国々よりも慎重な対応を取っているため、ヨーロッパやアメリカの人々に比べて、自由に旅行できる権利をあまり活用しない傾向にあると報じている。

IATAの最新の統計を見ても、アジア太平洋地域では航空需要(国際線の乗客数)がパンデミック前の5分の1に達していない。ヘンリー・パスポート指数によれば、これと対照的にヨーロッパと北米の国際線乗客数は、パンデミック前の約60%に回復している。

ヘンリー・パスポート指数とよく似たものに、カナダの金融コンサルティング会社アートン・キャピタルが作成するパスポート・インデックスもある。事前のビザ取得なしにアクセスできる渡航先の数で、199のパスポートのランクづけを行っているものだ。

アートン・キャピタルのインデックスでは、国連に加盟する193カ国に加えて、台湾、マカオ、香港、コソボ、パレスチナとバチカンの6地域のパスポートを評価しており、2022年のランキングでは、事前のビザ取得なし又は到着ビザで171カ国に問題なく入国できるアラブ首長国連邦のパスポートが1位に輝いた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イスラエルがイランに攻撃か、規模限定的 イランは報

ビジネス

米中堅銀、年内の業績振るわず 利払い増が圧迫=アナ

ビジネス

FRB、現行政策「適切」 物価巡る進展は停滞=シカ

ビジネス

英インフレ、今後3年間で目標2%に向け推移=ラムス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中