最新記事

欧州

リトアニア大統領「貨物通過拒否問題でロシアの電力供給遮断に備え」

2022年6月23日(木)10時41分
リトアニアのナウセーダ大統領

リトアニアのナウセーダ大統領はロイターのインタビューに応じ、同国がロシアの飛び地カリーニングラードへの本国からの貨物列車運行を拒否した問題で、ロシアが電力供給遮断などの報復に動く事態に備える考えを示した。ビリニュスで撮影(2022年 ロイター/Ints Kalnins)

リトアニアのナウセーダ大統領は22日、ロイターのインタビューに応じ、同国がロシアの飛び地カリーニングラードへの本国からの貨物列車運行を拒否した問題で、ロシアが電力供給遮断などの報復に動く事態に備える考えを示した。軍事的な衝突は想定していない。

欧州連合(EU)が発動した対ロシア制裁に基づき、加盟国であるリトアニアはカリーニングラードとロシア本土間の建設資材や金属、石炭などの物資の国内通過を拒絶。ロシア側はこれに激怒し、プーチン大統領最側近の1人は21日、リトアニア国民が痛みを感じる方法で報復すると警告した。

こうした中でナウセーダ氏は「ロシアが(対抗措置として)非友好的な行動、例えば送電システムの遮断に動くことなどへの準備は整っている」と語った。

旧ソ連圏のバルト3国(リトアニア、ラトビア、エストニア)はEU加盟から17年を経た現在でも、安定的な電力供給をロシアに依存している。ただリトアニアは昨年、ロシアが電力供給を遮断した場合の「保険」として、ポーランドとシステムをつないで欧州大陸から電力を得るための装置を導入した。

またEUが16億ユーロを拠出したプロジェクトは、バルト3国が2025年にロシア、ベラルーシと共有する送電システムから脱却し、欧州大陸の送電システムに切り替えることを目指している。

一方、ナウセーダ氏は「われわれは北大西洋条約機構(NATO)に加盟している以上、ロシアが軍事的な手段でわれわれに挑んでくるとは考えていない」と語った。

ナウセーダ氏は、来週のNATO首脳会議にリトアニアとロシアが現在対立している問題を持ち込む意向を表明。この会議ではバルト3国を含め、ロシア周辺のNATO加盟国の駐留部隊を拡充するかどうか検討する見通しだ。

同氏は「ロシアの現状や同国が問題解決のためにどんな手段や威嚇を行使しているかを説明する上で、今回の事例(対立)を用いるのは間違いではないだろう。それにより、われわれがロシアからごう慢な態度で脅されている時に、ロシアの顔を立てられるようにしなければと発言する人々を沈黙させられるかもしれない」と述べた。

さらに同氏は、EUの対ロシア制裁が段階的に強化されるのに伴って、リトアニアもカリーニングラードとロシア本土間の輸送禁止物資の対象を拡大していく方針を明らかにした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は続落、一時800円超安 選挙情勢の

ワールド

印リライアンス10-12月利益が予想届かず、コスト

ワールド

原油先物横ばい、イラン抗議デモ沈静化で供給懸念後退

ビジネス

消費減税、選択肢として排除されていない=木原官房長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 2
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 3
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」も子に受け継がれ、体質や発症リスクに影響 群馬大グループが発表
  • 4
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 5
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 6
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 7
    「リラックス」は体を壊す...ケガを防ぐ「しなやかな…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中