最新記事

米外交

アフガンに続きウクライナでも!現地職員を見捨てたアメリカ政府

Ukrainian Staff at U.S. Embassy, Left Behind, Say U.S. Is Backtracking on Promises of Support

2022年3月22日(火)13時35分
ロビー・グラマー(フォーリン・ポリシー誌記者)

ロシア軍の砲撃を受けたアパートから救い出された女性(3月15日、キエフ) Thomas Peter-REUTERS

<「約束と違う」とウクライナで雇われた米大使館職員が抗議。アメリカ人職員が退避するなか、何の保障もなく取り残されたという>

ウクライナの首都キエフの米大使館に勤務していたウクライナ人職員が、約束を反故にされたと米国務省に救済を求めている。

ウクライナの米大使館は、ロシア軍の侵攻前に西部リビウに移転し、その後さらにアメリカ人職員の大半がウクライナ国外に退避したが、現地で雇われたウクライナ人職員とその家族は何の保障もなしに取り残されたというのだ。

キエフの米大使館で働いていたウクライナ人職員の団体が、米国務省の管理部門に宛てた3月11日付の手紙は、「事前の約束を反故にした」無責任な態度に強く抗議した上、給与の支払い、家族と避難する手段の確保、アメリカに長期滞在できる査証の発給を求めている。

■カブール陥落やサイゴン陥落のときも......

フォーリンポリシーが入手したこの手紙は、ウクライナ人職員団体の指導部が出したもので、ウクライナにおけるアメリカの外交活動を助けてきた約600人のウクライナ人職員の思いを代弁している。

「ヨーロッパの国に難民申請しろ」

それによれば、ワシントンの国務省スタッフは現地のウクライナ人職員と何回かオンライン会議を行い、ロシアとの戦闘が激化し、大使館を閉鎖する事態になった場合、現金での給与支払いなど、長期的にウクライナ人職員の生活を保障する手段を講じると約束していた。

すべては無理でも「せめて最低限の援助をしようという誠意すら見られない」と、手紙は訴える。

手紙によれば、国務省は事前にロシアの侵攻後もウクライナ人職員に給与を支払い続け、キエフから避難することになった場合も、出張扱いにしてその間の給与を払うと約束していた。

だが国務省には約束を果たす気が見られないとして、ウクライナ人職員は不安を募らせている。

手紙はまた、国務省スタッフに査証について問い合わせたところ、アメリカではなく、ヨーロッパの国々に難民申請をして支援を求めるよう指示されたと記している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ハマス、人質のイスラエル軍兵士の遺体を返還へ ガザ

ワールド

中国外相、EUは「ライバルでなくパートナー」 自由

ワールド

プーチン氏、G20サミット代表団長にオレシキン副補

ワールド

中ロ、一方的制裁への共同対応表明 習主席がロ首相と
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 6
    高市首相に注がれる冷たい視線...昔ながらのタカ派で…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【HTV-X】7つのキーワードで知る、日本製新型宇宙ス…
  • 10
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中