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混乱気味の中国が、ウクライナ問題で最も恐れていること

CHINA’S MURKY POSITION

2022年3月3日(木)17時50分
ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌副編集長)

懸念は分離独立と経済制裁

指導部から明確な指示があれば、若手の一派は態度を一変させるかもしれない。だが、欧米との関係悪化という短期的懸念にもかかわらず、中国がロシアとの連携を危険にさらすことはなさそうだ。

中国の最終的な公式見解は、あるメディアがSNSに誤って投稿した「命令」により近いものになるだろう。親ロシアのコンテンツだけを投稿し、親欧米的なものは削除せよと、命令にはある。

ただし、ロシアがウクライナ東部のドネツクとルガンスクを独立した共和国として承認したことは、中国にとって問題含みだ。両地域の分離独立が許されるなら、台湾や新疆ウイグル自治区は?

中国はこの矛盾を、単に無視して片付けるだろう。いずれにしても、ロシアが両地域を併合すると、中国はみているはずだ。

中国にとってより深刻な懸念は経済制裁、特にロシアを支持する国などに対する2次的制裁だ。中国経済と中国エリート層の生活は今も、アメリカと密接に結び付いている。

中国は公にはロシアへの支持を表明する裏で、真剣に支持していないとアメリカに伝えるのではないか。

中国の立場が本当に試される場は、国連安全保障理事会で採決予定のロシア非難決議案かもしれない。決して賛成はしないが、棄権を選べば、不満を示すシグナルにはなる(編集部注:25日の採決で中国は棄権)。

当面は、経済制裁の最悪の影響を回避する手段をロシアに提供し、ロシア寄りの報道を続けるだろうが。

From Foreign Policy Magazine

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